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物流最前線/オリックス、トップインタビュー

2018年05月08日/物流最前線

景況感を見極めながら東名阪中心に開発

―― この2月13日には、埼玉県蓮田市に蓮田IIロジスティクスセンターを、3月1日には埼玉県松伏町で松伏ロジスティクスセンターを着工しました。8月には厚木Ⅱが竣工する予定です。今後の方針と計画は。

久保田 蓮田Ⅱロジスティクスセンターは竣工を2019年1月末、松伏ロジスティクスセンターは2019年春ごろを予定しています。いずれもマルチテナント型です。今後の目標数値をよく聞かれますが、オリックスはファンドで集めた資金で開発するわけではないので、明確に何棟、何平米の施設を作るという数値目標はありません。適正な場所に適正な規模の物件を提供していくことが基本です。ただ、思いとしては、物流の大変革期ですので、年3~5棟の物流施設開発をコンスタントに行っていきたいと思います。

―― 適正な場所に適正な物件の見極めは。

久保田 物流施設は重要なインフラのひとつとして位置付けています。そのため、マーケット、景況感などを慎重に見極めて、開発していきます。我々は、2008年のリーマンショック時も投資・開発を続けてきました。景況感の恐さもよく知っています。

―― エリア的には全国になりますか。

久保田 マーケット的に考えると、エリアは大消費地が控えている東名阪になります。今日の物流の活性化はe-コマースの進展が大きく関わっています。どうしても大消費地の近くがメインになります。ただ、これまでのように、汎用型の大型倉庫が本当に良いのか、これから試行錯誤の時期に入ると思います。なぜなら、e-コマースの大切なことは、ラストワンマイルです。現在では、工場から大型倉庫へそこからセンターを経由して個配となりますが、それが直接倉庫から個配への時代になるとしたら、よりサテライトセンターのようなものが必要になるかも知れません。エンドユーザーにより近い場所もますます必要になってくると思います。

―― 冷凍冷蔵倉庫や定温倉庫の要望も高いと聞きます。

久保田 省力化、省人化にロボット化、IoT化、AI化が避けられないように、倉庫もより専門化、細分化が必要になると思っています。冷凍冷蔵倉庫や定温倉庫もその一つですね。おもしろいマーケットになると思いますが、設備の償却の難しさもあり、まさに発想の転換が必要です。

―― 物流の大変革期ですね。

久保田 物流ではドライバー不足もあり、人手不足が永遠のテーマになりそうです。ロボット化、IoT化、AI化も進展はしていますが、まだこれが正解だというものに導かれていません。トラックの自動走行も始まったばかりです。いずれにしても、物流の大変革期を迎えている事は確かですので、大きなビジネスチャンスになるものと考えています。そのためには時代の流れを掴むことが非常に大切になりますね。

顧客の声を聞き、時代の流れを掴む

―― 時代の流れを掴むためには。

久保田 今まで以上に顧客の要望を聞くことが大切です。ただ、A社、B社、C社それぞれの要望を聞くだけでは、それはそれぞれにカスタマイズした物件を作るだけになるので、それではリスクが大き過ぎます。そのため、最大公約数的な施設開発に向かわざるをえないと思っています。その最大公約数を集めるためにも、顧客の声を数多く聞くことが必要なのです。

―― 今年度の具体的な予定は。

久保田 まだ、発表できる状況ではありませんが、東名阪でそれぞれ開発案件を進めています。いずれもマルチテナント型で夏ごろには発表できるものと思います。来年度は3棟の竣工を予定しています。いずれも顧客の反応が良く、楽しみにしています。また、引き続いてロボット化、IoT化、AI化についても、さまざまな提案を行なっていく予定です。

―― 全体的なテナントリーシングの状況は。

久保田 さすがに、これだけ物流施設の供給が多いと、以前と較べると、満床になるのは時間がかかっています。柔軟なリーシング戦略など巧拙が物件の価値を大きく左右すると考えています。

―― さて、大変な時期の不動産事業本部の物流部門の責任者として健康維持やストレス発散法とは。

久保田 実は週末、スカイパーフェクTV!でプロ野球中継を見る事が私のリラックス時間です。もちろん、オリックス・バファローズの観戦です。ただ、あまりにも勝てないので、一昨年は6月に去年は7月にスカパーを解約しました。今年はいつになることやら。でも、プロ野球球団をグループ会社に持つ12社のうちの1社ですから、愛情と誇りはありますね。社員の応援デーでは、家族も呼べますし、社員が一体感を持てますし、社員としては幸せなことです。できれば阪神と関西ダービーを実現して欲しいものです。人間ドック前だけのにわかランナーですが、健康状態もばっちりですので、オリックスらしい物流施設開発を今後も続けていきたいと思っています。

<久保田 勲不動産事業本部副本部長>
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■プロフィール
久保田 勲
オリックス 理事職 不動産事業本部副本部長 投資事業部部長
生年月日:1964年7月13日

1988年4月1日:オリックス入社(旧オリエントリース)
1988年4月15日:東京情報機器第三部 OA機器第二課配属
1991年2月13日:前橋営業所
1995年2月22日:融資事業部営業第二課 主任
2004年10月1日:投資企画部 課長
2006年3月1日:オリックス・リアルエステート 物流投資事業部第二課 課長
2013年1月1日:オリックス不動産 物流投資事業部 部長
2014年7月1日:オリックス 物流事業部 部長
2016年7月1日:商業施設事業部 部長
2017年1月1日:理事職 不動産事業本部副本部長 商業施設事業部部長
2018年1月1日:理事職 不動産事業本部副本部長 投資事業部 部長

■オリックスの物流施設
http://www.orix-logi.jp/

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