IHIとIHIプラント建設(IPC)は8月31日、慶應義塾大学理工学部の大村亮教授と共同で、除菌・脱臭に優れた効果が期待できるオゾンハイドレートの実用的な製造技術の開発に世界で初めて成功したと発表した。
オゾンハイドレートは、水分子が形成する籠状のハイドレートにオゾン分子を内包する固体結晶。
分解すると高濃度のオゾンガスとして気化・拡散するという特性があり、同特性を利用して空間・水を浄化するため、配送車内の脱臭、青果物などの表面を除菌することによる腐敗抑制に利用でき、物流業、農業、漁業、畜産業、排水処理業などで様々な環境に適用できると期待されている。
今回開発した技術は、低温高圧状態にした水とオゾンを混ぜ合わせることで、オゾンハイドレートを製造するもの。
マイナス25℃以下の低温環境で高濃度のオゾンを長期間保存することができるため、オゾン除菌装置を保有せずとも、必要に応じてオゾンハイドレートを利用することにより、使用頻度が少ない利用者でも低コストで、オゾンによる除菌・脱臭を行うことができる。
電源が無い、結露・凍結するような環境で放電できずオゾン除菌装置を使用不可能な場合でも、オゾンハイドレートが利用できる。
オゾンは優れた除菌・脱臭能力を有し、残留毒性が無いため環境に優しく、従来使用されている薬剤と比較して安全に使用することができる。
一方、短時間で酸素に分解されるオゾンを保存することは難しく、使用する際にはオゾン除菌装置を用いて発生させる必要があるが、使用頻度の少ない利用者にとっては、装置の購入・保有コストを要することが課題となっていた。
今後、両社は、オゾンハイドレートのサンプル試験をさまざまな場面で行い、除菌・脱臭効果を実証するとともに、製造・販売の事業化に向けて製造プロセスの自動化や低コスト化に取り組む。
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