ニッセイ基礎研究所は7月28日、「新型コロナによる大封鎖が不動産市場に与えた影響-不確実性の高まる世界において。不動産投資を再考する」を発表した。
著者は金融研究部 准主任研究員 佐久間 誠氏。
<不動産賃貸市場・投資市場への世界金融危機と大封鎖の影響のイメージ>
それによると、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染拡大は、経済や社会に甚大な影響をもたらしている。「大封鎖(The Great Lockdown)」と称されるように、社会的隔離政策のもと人の移動が制限され、世界的に広範囲で需要蒸発を引き起こしたことが、今回の経済的な落ち込みの主たる原因であると述べたうえで、前回の世界金融危機との比較、大封鎖が引き起こした人とモノとカネの流れの変化等を解説。
<新型コロナの不動産市況への影響に関する市場関係者の見通し>
そのうえで、新型コロナウイルスの感染拡大と大封鎖の不動産市場への影響は、ホテル>商業施設>オフィス>賃貸住宅>物流施設の順に顕在化している、という。
それぞれのセクターを順に解説。不動産セクターの中でもディフェンシブとされる賃貸住宅やeコマース拡大による需要拡大が期待される物流施設については、今のところ小さな影響にとどまっているとする。
しかし、両セクターとも景気後退の長期化が懸念されるため、楽観できる状況ではないとする。
今後の見通しについても、ホテル>商業施設>オフィス>賃貸住宅>物流施設の順に、新型コロナの影響がさらに顕在化すると予想されている。
日本不動産研究所のアンケート調査(2020年4月1日時点)9によれば、今後1年間の新型コロナのネガティブな影響は、「大:ホテル・都市型商業施設」、「中:郊外型商業施設・オフィス」、「小:賃貸住宅・物流施設」との見通しである。
また、新型コロナが収束後に市況回復に要する期間としては、「1年:ホテル・都市型商業施設・郊外型商業施設」、「半年:オフィス」、「早期:賃貸住宅・物流施設」、と予想されている。
■新型コロナによる大封鎖が不動産市場に与えた影響-不確実性の高まる世界において。不動産投資を再考する(3)
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=65018?site=nli
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