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トライアート、トヨタ/異なるAGVが自律協調するシステム構築

2021年11月19日/IT・機器

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トライアートとトヨタ自動車九州(トヨタ九州)は11月18日、トヨタ九州の宮田工場の屋外で使用する長距離の無人搬送車(AGV)で、参加する端末を搭載した車両などが環状につながり直接通信する「リングネットワーク」を形成し、互いに安全性確認を行う優先走行制御システムの運用を開始すると発表した。

<直接通信による自律協調走行の仕組み>
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運用する「優先走行制御システム」は、異なるメーカーのAGV同士がインフラ不要で直接通信する対話システム。車両同士が交差点での優先走行を自律的に判断する。メーカーの車両や歩行者の端末で、その仕様の差異を吸収しながら自律協調することが可能で、将来的には道路設備などへの対応も見込む。

これまでは、交差・合流が発生するような、複雑なレイアウトの場合、AGVは走行順序を完全管理した予定走行でなければ運用できず、さらに全てのAGVが同じメーカーの同一システム上で集中管理できる場合に限定されていた。

システムはトライアートが開発。「各種端末が参加・離脱可能なリングネットワークを構成」「仕様の異なる機器との連携機能を構築」という二つの独自技術で実現した。

<「XCOA」を使ったリングネットワークの仕組み>
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「各種端末が参加・離脱可能なリングネットワークを構成」では、トライアートが持つ独自の分散コンピューティング技術「XCOA(クロスコア)」のエージェントを「車載スマートフォン」「作業員スマートフォン」管理者PC」などの端末に搭載し、端末間直接通信(P2P通信)でつながる「リングネットワーク」を形成できるようにした。

リングは自律したネットワークで、「優先走行判定ロジック」などのプログラムを実行する一つのコンピューターとして作用する。そのため、サーバーによる集中監視・制御と異なり、リアルタイム処理や継続処理にも通信負荷がかからず、端末が任意の参加・離脱する時にも通信が保たれる冗長性を確保しているという。

<リングネットワークと車両の連携の仕組み>
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「仕様の異なる機器との連携機能を構築」では、リングネットワーク上で処理された、停止命令などの結果を、AGV車両やAGV管理機器などに送ることで、車両にブレーキを掛けるなどのデバイスの制御を実現した。

送信するメッセージの対象によってPLC(機械制御装置)や、ROS(ロボットOS)マシンを経由する。メーカーなどの仕様によるデータフォーマットや通信仕様の違いなどは、経由する装置やマシンで共通化(翻訳)を施し、判定はリングネットワーク上の共通ロジックに委ねることで、その差異を吸収できるようにした。

<リングネットワーク上に参加する端末の管理画面(上)と、端末のバッテリー情報などの確認画面>
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トライアートとトヨタ九州では、屋外長距離無人搬送車の動向監視、交差点における優先走行制御、歩行者との間の安全性確認までをシステムで運用する計画。2022年1月から、宮田工場の一部の区間で屋外を走行する、長距離無人搬送車の動向監視での運用開始を予定している。

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