一昨年創業50周年を迎えた丸和運輸機関。桃太郎便としても有名だ。最近では、AZ-COM丸和ホールディングスへ商号変更を発表し、マツキヨココカラ&カンパニーと物流センター開設計画で協定を締結するなど、動きは活発だ。和佐見 勝社長は青果小売業から、1970年に運送業に転身し、1973年に一般区域貨物自動車運送業として会社を設立。2015年に東証1部上場を果たしている。2022年3月期の売上高は1330億円。和佐見社長が「わが社は小売業に特化した3PL事業者」と話すように、EC物流などの時代の流れにも乗り増収増益を続けてきた。中期経営計画2025では、最終年度に2400億円を目標としている。和佐見社長に増収増益を続けてきた企業経営の取り組み方等について伺った。
取材:5月19日 於:丸和運輸機関東京本部
小売業に特化した3PLとは
―― 先日、2022年3月期の決算発表をされました。売上高1330億円、前期比18.6%増、営業利益が86億4900万円、7.8%増となり、増収増益でしたね。
和佐見 ありがとうございます。これはわが社が小売業に特化した3PL事業者だということに要因があると思います。これが強みに出ている結果でしょう。現在、基本的にメーカーは海外で生産する割合が高くなっています。国内で生産するより、安価に生産できますからね。小売りは、基本的に国内での流通になりますから、メーカー物流と比べると物流面では安定しているという点があると思います。
―― この2年間続いている新型コロナの影響については。
和佐見 この影響は多方面に波及していて、さまざまな困難を生んでいます。しかし、プラス面から考えた場合、ECの急速な普及により、出かけなくてもその日のうちに家庭に商品が届くといったサービスが当たり前の世の中になってきています。これは、コロナが収束しても、一つのサービスとして完成形に近づいたものになってきて、定着してきたかな、という感想を持っています。まさに、以前では想像もできなかった展開になってきましたね。
―― EC物流では、2017年の6月からアマゾンさんの配送を手掛けていますね。
和佐見 当時、ヤマト運輸さんは宅急便とアマゾンさんの荷物の急増により、苦労されていたようです。基本的にCtoCの割合の高い宅急便に比べ、アマゾンさんの荷物はBtoCですので、オペレーションにも違いがあって大変だったのではないでしょうか。
―― 御社がアマゾンさんのデリバリーを引き受けるとのニュースには驚きました。
和佐見 まずは、首都圏を担当するデリバリープロバイダとしてスタートしました。全国を担当するのはヤマト運輸さんしかいませんから。当社はもともと子会社で個人向け宅配を行っていましたのでノウハウがありました。
―― その後順次拡大を続けるわけですね。
和佐見 当初は、東京23区を中心としたデリバリープロバイダとして、そして地元である埼玉県や北関東エリア、さらに、関東圏とそれ以外のエリアというように拡大しています。我々は、最初はラストワンマイルのデリバリーを受託していましたが、我々の配送拠点にセンターから配送することもしました。現在は、ラストワンマイル、幹線輸送、そして物流センターの運営にも関わるようになってきました。
―― ファイズのM&Aはそのためだと。
和佐見 今年の2月18日に、ファイズホールディングスの普通株式を金融商品取引法による公開買付けにより取得し、資本業務提携契約を締結すると発表しました。連結子会社化とすることで、具体的に「EC物流事業における連携」でのシナジー効果を見込んでいます。EC物流事業で丸和運輸機関グループは、主にラストワンマイル物流を手掛けていますが、さらなる規模拡大の実現に向けて、事業領域をEC事業者の物流拠点の管理・運営等にも拡大していく必要があると考えています。一方、ファイズグループでは、既にEC事業者の物流拠点の運営を全国で行っており、物流拠点のオペレーション能力や必要な人材確保等のオペレーションに関するノウハウを有しています。ファイズは4月1日から当社にグループ化されています。
―― 中期経営計画でも、2023年度では大幅な伸びを示しています。
和佐見 2023年度では2022年度の1330億円から1715憶円に385億円増になっていますが、そのうちの180億円分がファイズの売上ということですね。中期経営計画では、最終年度の2025年には2400億円の売上高を目指しています。
物流最前線/三菱食品 田村幸士取締役常務執行役員SCM統括に聞く