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経営は環境適応業、常に変化、変化、変化

2022年06月24日/物流最前線

<新ロゴマークを配した桃太郎便の車両>
20220607maruwa05 - 物流最前線/丸和運輸機関 和佐見社長トップインタビュー

<桃太郎文化の小冊子>
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<ラグビー部の活動>
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企業としての桃太郎文化とは

――  丸和運輸機関というと、「桃太郎便」を連想しますが、この桃太郎とは。

和佐見  企業には企業文化が、非常に大切なものだと思っています。ここに、当社の「桃太郎文化」といったものを小冊子にまとめております。実は、私は43歳の時に胃潰瘍になり、40度以上の高熱が続き、24日間うなされていました。再起不能とまで言われましたが、奇跡的に25日目から回復しました。その24日間のうち、うなされながら、何かをこの世に残しておきたいという衝動に突き動かされて書いたものなのです。今まで私が言葉にしてきたことを成文化しようと思ったのです。それが「桃太郎文化」という当社の企業文化です。また、桃太郎便は商品名で、引越便には引越桃太郎便というようにすると、社名の丸和運輸機関よりはずっとお客さんに覚えてもらえます。

――  桃太郎、そして犬と猿と雉の役割を考えられたのもその時ですか。

和佐見  経営の先見3要素をそれぞれ犬が考働力、猿が知識力、雉が情報力で表現しています。桃太郎が経営者ということです。素人考えながら、制定した創業時の経営理念・社是の改定をはじめ、経営者としての自分の想いや価値観・考働規範を成文化しようと書き始めたのです。「人を大切にし、人を幸せにする」この想いを胸に会社の将来の夢やビジョンを含めて何度も何度も書き直し成文化したものです。この桃太郎文化の実践を通じて、「報恩感謝」「挑戦・成長・貢献」「利他の心」でお客様をはじめ、多くの人を幸せにする。この考えは時代や環境が変わっても不変の考え・価値観だと思っています。今日、新しい「桃太郎文化」の小冊子が出来上がったばかりです。

――  桃太郎文化の冊子を見ますと、歌まであるんですね。

和佐見  全部で8曲ありますが、最初に作った「我等の世界」はNHKの大河ドラマでも有名な坂田晃一先生に作曲してもらったものです。これは朝礼や研修で歌っていますね。

――  桃太郎文化で本体の経営を図り、それと共に、全国各地にAZ-COMネットという組織を構築していますね。

和佐見  正式名は、「一般社団法人AZ-COM丸和・支援ネットワーク(AZ-COMネット)」です。AZ-COM(アズコム)と呼びますが、AZ-COM とは、AからZまで、コミュニケーションを図りながらお客様の問題解決に取り組むという意味です。現在全国1730社で構成しています。AZ-COMネットは中小のトラック運送事業者を中心とする会員制のネットワークで、経営改善研修や配車担当者・ドライバー向け教育をはじめ、ETC大口多頻度割引サービス(AZ-COM協同組合を通じて提供)、トラックや燃料等の割引販売、運輸倉庫関連商材を安価に提供する共同購入サイトの提供を通じて、会員であるパートナー企業を力強くサポートしていきます。これを今後3000社、5000社、1万社と増やしていくつもりです。

――  先日オープンした仙台長町未来共創センターにも「AZ-COM BCPギャラリー」というものを設置されました。

和佐見  仙台市、国立大学法人東北大学災害科学国際研究所及びフクダ・アンド・パートナーズとの4者間にて「仙台長町未来共創センターを活用した企業防災等の推進に関する協定書」を2022年4月6日に締結しました。その仙台長町未来共創センターに、「AZ-COM BCPギャラリー」を設置しました。当社が推進しているBCP物流の取り組み等の情報発信拠点として運用していくつもりです。

――  BCPにもかなり注力されています。

和佐見  現在、47の都道府県、1718の市町村との災害時支援協定締結を目指しています。これまで、我々は阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震等の災害時に、全面的に無報酬で災害支援を続けてきました。その間のノウハウが社内に数多く蓄積されており、行政の方とお話しても「なんで丸和さんはそんなに詳しいの」と驚かれます。

――  さて、社内CSR活動の一環として、ラグビー部をお持ちですよね。

和佐見  物流企業では珍しいと思いますが、2011年にラグビー部を作ろうと計画し2013年にチーム「AZ-MOMOTARO’S」を発足させました。2014年、関東社会人ラグビーフットボール連盟に登録。2021年トップイーストリーグCグループを全勝優勝し、入替戦を制して、トップイーストリーグBグループへ昇格しました。

――  物流企業では、野球部や陸上部の活動はよく聞きますが、ラグビー部は初めて聞きました。なぜ、ラグビー部を。

和佐見  当時、新卒社員の募集で各学校にお願いしていたのですが、某大学の学長さんと懇談したおり、「本当に人が欲しいなら、ラグビー部を作ったら、全国の学校が学生を紹介してくれますよ」、さらに「ラグビーというのはサッカーと違って規模的には小さいんだけど、人間的な結びつきが強い人が多いのです」と話され、それならと、ラグビー部を設立したわけです。東京大学の柏キャンパスや京都大学の宇治グラウンドには、それぞれ天然芝・人工芝のラグビーフィールド、クラブハウス、トレーニング設備を寄付しています。私自身は、学生時代は陸上の長距離をやっていました。

――  最後になりますが、社長の経営哲学とは。

和佐見  ビジネスは人脈だと思いますね。ヒューマンネットワークというか、グローバル的なネットワークが大切です。その人脈はやはり縁ですね。縁(えにし)とも言いますが、出会いを大切にすることです。そして、創業50周年の経営戦略で打ち出したのが、「変化、速さ、実行力」。経営は環境適応業で、常に変化、変化、変化です。その変化をとらえたら素早く実行するということですね。これに尽きます。

■6月17日発表
なお、同社は2023年8月の会社設立50周年を機にコーポレートロゴをリニューアルする。桃太郎便の新マーク、新デザイン車両、AZ-COMの新ロゴ等を発表した。

<桃太郎便の新マーク>
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<AZ-COMのロゴマーク>
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<和佐見社長>
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■プロフィール
和佐見 勝(わさみ まさる)
1945年埼玉県吉川町(現吉川市)生まれ。青果小売業を経てトラック 1 台で運輸の世界に入る。1970年に24歳で創業。1973年丸和運輸機関を設立。1990年代前半に3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業に参入。2014年4月東証二部上場。2015年4月東証一部指定。2022年4月東証プライム市場移行。
日本3PL協会会長、公益財団法人丸和財団代表理事、一般社団法人 AZ-COM 丸和・ネットワーク理事長などを務める。

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