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CBRE/「物流施設は拡張する」と75%のテナントが回答

2022年06月17日/調査・統計

CBREは6月16日、「物流施設利用に関するテナント調査2022」を発表した。

<今後3年間の拡張計画>
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その抄録によると、昨年までの調査で明らかになったテナント企業の傾向、すなわち物流網の拡張と先進化のニーズが全体として継続し、強まっていることがわかった、としている。

「テナント企業の拡張意欲とその理由」では、今後3年間の拠点戦略の具体策について聞いたところ、「倉庫の総面積は拡大する」と回答したテナント企業が全体の75%を占めた。特筆すべきは「10%以上拡大」と答えた企業の割合が全体の41%と、昨年の31%から増加したこと。

「拠点数」および「拠点当たりの面積」について「10%以上拡大」と回答した企業の割合も昨年比で相応に増えており、全体としてテナント企業の拡張姿勢がさらに高まっていることがうかがえる。

<今後3年間の拡張計画(物流企業・荷主企業の内訳)>
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物流企業と荷主企業を比較すると、面積についても拠点数についても「拡大する」と回答した比率は物流企業の方が高い。倉庫の総面積を「拡大」するという回答は、物流企業の方では82%だったのに対して、荷主企業の方では63%にとどまっている。後述の通り、物流企業の多くは、EC市場のさらなる拡大が見込まれることに加え、効率的な物流施設運営のための自動化を推進しており、より広い面積を必要としていることがその背景にあると考えられる。

< 今後3年間の物流拠点計画の方法(複数選択可)>
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「拠点拡張の手段」として、物流企業の59%と荷主企業の54%がマルチテナント型物件の賃借を検討すると回答した。加えて、物流企業の3社に1社が個別ニーズに仕様を合わせたBTS型の賃借を検討していることからも、先進的物流施設を借りるニーズは引き続き高いと言えそうだ。

また、物流企業の33%が「自社施設建設のため土地を購入」と回答した。より詳しくみてみると、そのように回答した企業のほとんどが「事業の拡大」を物流戦略の背景理由の一つとして挙げている。事業の拡大を予定している物流企業は、賃貸物件だけでなく、自社開発を含むあらゆる手段での拠点拡張を模索しているようだ。

他方、荷主企業の25%が3PLへの委託による拡張を検討していると回答した。別途荷主企業に今後3PLへの委託が増えるかどうか聞いたところ、50%が「現在よりも増える」と回答し、割合としては昨年の44%を上回った。3PLを担う物流企業の事業拡大と拡張意欲が今後も高いままで推移する可能性を裏付ける結果と言えるだろう、としている。

< 検討中の物流拠点の立地(複数選択可)>
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「立地」については、最も多かった回答が「物流集積地」(62%)と「都市圏内の郊外」(49%)だった。物流集積地や都市圏郊外は新規の供給が多い上に賃料がリーズナブルであることから、テナント企業がこのような立地で拡張を検討するのは当然とも言える。

また、「地方都市、中継地点」を検討する企業が全体の26%と、比較的多かったことが注目される。後述する「2024年問題」への対応も含めて、中継地点となり得る大都市圏以外の立地においても物流施設の需要が高まっていることが示唆される。

「仕様」については、、「今後大きくなる、増える」との回答の割合が最も高かったトップ3は「空調付き施設の需要」(69%)、「非常用電源」(63%)、そして「環境性能・グリーンエネルギー」(62%)で、昨年の調査結果と変わらなかった。つまり、先進的物流施設の仕様におけるキーワードが「快適性」「BCP」そして「ESG」であることに変わりはないとしている。

そのほか、調査では、「物流業界が直面する課題と対応」として、物流拠点の運営費用、テクノロジーの活用、環境性能、2024年問題等を掲載している。

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