LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





経産省等/荷待ち・荷役作業等原則2時間以内ルール化も検討

2023年05月19日/3PL・物流企業

経産省等が実施する第10回「持続可能な物流の実現へ向けた検討会」で5月19日、物流の適正化・生産性向上に向けて荷主・物流事業者が取り組むべき事項(案)が資料として提出された。これは、2024年問題対策を協議するため3月31日に開催された内閣府による関係閣僚会議で、「6月上旬を目途に政策パッケージをまとめる」という岸田総理の指示により作成し、検討会に提出されたもの。制度改正には時間を要するため、それまでに各企業が早急に取り組む事項について資料としてまとめた。

今回作成した取り組み事項案は、検討会で法的措置案が制度化された場合に必要となる「判断基準」のイメージとなる。荷主、物流事業者が喫緊に取り組むべき「必要事項」と「推奨事項」に分けて提示した。

まず、発・着荷主への共通事項では、必要事項は荷待ち時間・荷役時間等にかかる時間の把握や、荷待ち・荷役作業等原則2時間以内ルール、物流管理統括者(役員)の選定、物流改善提案と協力など10項目。このなかで特に、荷待ち・荷役作業等原則2時間以内ルールについて、「荷待ち、荷役時間の削減がドライバーの労働時間削減には必要だが、時間を把握している事業者は1~2割程度。業種により多様で難しいが、これから2時間以内とするのを新しい常識とし、どうしてもできない場合は別の方法を設定し、既に達成している事業者にもさらなる短縮に努める」という方向性を打ち出した。

また、運送契約の書面化や、運送契約にない荷役作業の防止、運賃と料金の別建て契約、燃料サーチャージの導入・燃料費の上昇分の価格への反映等「運送契約の適正化」、異常気象時などの運行中止・中断等「輸送・荷役作業等の安全の確保」も盛り込まれた。推奨事項としては、予約受付システムの導入やパレットの活用のほか、「高速道路の利用負担に関して物流事業者から相談があった場合、協議に応じること」など10項目となっている。

発荷主としての取組み必要事項は、出荷に合わせた効率化・合理化や運送を考慮した出荷予定時刻の設定の2つ。推奨事項は、出荷情報の事前提供や物流コストの可視化など7項目。

物流事業者の必要取組み事項は、業務時間の把握・分析や、長時間労働の抑制、運賃・料金の明確化など5項目。推奨項目は、物流システムや資機材(パレット等)の標準化、賃金水準向上など2項目があげられている。このほか運送モード等に応じ実施することが求められる個別事項として、共同輸配送の促進や帰り荷の確保、倉庫内作業の効率化、中継輸送の促進など9項目があげられた。

これらの取組み事項は、検討会の最終とりまとめともすり合わせを行い、内閣府から提出される予定。検討会では、「交渉力が弱い事業者には相談窓口が必要。特に中小企業が多いなかで、相談窓口を明記することが必要なのでは」「荷待ち・荷役作業等原則2時間以内ルールにはモニタリングや体制づくりが必要。予約受付システム導入も必要だが、中小企業には導入支援とパッケージにする必要がある」など活発な意見が出された。

関連記事

3PL・物流企業に関する最新ニュース

最新ニュース