日立製作所は7月6日、ベトナム社会主義共和国全土の郵便事業を中心としたデジタル化に向けて、ベトナムの国営企業であるVietnam Post (ベトナム郵便)のデジタルインフラ構築と物流DXの実証を開始すると発表した。
具体的には、ベトナム郵便がDXを進めていく上での、デジタルインフラの中核となるデータベース構築をめざし、日立のデータ管理・分析ソフトウェア群Pentaho, an intelligent Data Ops platform(Pentaho)を活用することで、業務ごとに分散している配送・車両・顧客などに関するデータの中から、格納するデータの選定や、統合・分析方法、利活用のユースケースを検討する。
また、現在の中核事業である郵便・物流において、疑似量子コンピュータとも呼ばれる日立独自のCMOSアニーリングを活用することで、大規模かつ複雑なデータの中から、最適な配送計画を作成し、物流業務の効率化を検証する。
CMOSアニーリングとは、磁性体の性質を説明するために考案されたイジングモデルを用いて、組合せ最適化問題を解くために日立が開発している新型コンピュータ。量子コンピュータで必要な冷却装置などは不要で、室温で動作する上、大規模化も容易に対応できる。
さらに、今回検討・検証した内容をもとに、今後、本格的にデータベースを構築し、既存事業の効率化のみならず、注力するEC事業の拡大などもめざす。日立は、ベトナムの国家戦略のもと、国のデジタルインフラを担うベトナム郵便のDXを支援することで、郵便・物流を中核としたベトナム社会全体のデジタル化に貢献していくとしている。
なお、この取り組みは、「インフラシステム海外展開戦略2025」の一環として総務省が実施する調査研究において、日本のDX事例の導入可能性に関する実証実験の請負先として、日立が総務省より請負い、実施する。
今後の取り組みとして、本格的にデータベースを構築し、ベトナム郵便の既存の郵便事業の効率化だけでなく、注力事業であるEC事業拡大による地域活性化や、公共サービスや金融をはじめとする他業種サービスとの連携など新規事業の創出に寄与することで、ベトナムの国民生活を広く支えるプラットフォームとしての発展をめざす。
そして、日立は今後、デジタルソリューションを加速するLumada(顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称)を核に、総務省や国内関連企業と連携し、ベトナムにおける日本のDX事例の導入を推進することで、ベトナムのデジタル化に貢献していく、としている。