帝国データバンク(TDB)が、スポットワーク(スキマバイト)を請け負う「スポットワーカー」の活用についての企業アンケート結果を公開した。
アンケート期間は2024年11月8日~12日、有効回答企業数は1685社(インターネット調査)。
働き手側においては、履歴書や面接が不要で、自分の都合に合わせて短時間・単発で働ける気軽さ、企業側では必要な時に必要な人員を柔軟かつスピーディーに確保できる点がスポットワークの魅力だ。
「タイミー」をはじめとする仲介サービスの市場も急拡大しており、新しい働き方として「スポットワーク」は広がりを見せているといえる。
そんな中、企業全体でアンケート結果を見ると、「既に活用している」が8.3%、「活用を検討している」が5.3%、「検討はしていないが、興味はある」が24.5%だった。合計すると、約4割の企業がスポットワーカーの活用に前向きであることが明らかとなった。
活用に前向きな企業においては、「最低賃金の上昇に加え、新規人材の確保も容易ではないため、活用を検討している」(繊維・繊維製品・服飾品小売)といった声にあるように、人手不足への対応が背景にある企業が多かった。
他方で、「スポットワーカーの活用は人手が足りない隙間の時間を埋められるメリットがあるが、さまざまな人間が入れ替わることで内部的な情報漏洩も考えられ、検討段階にとどまっている」(旅館・ホテル)というように、興味はあるもののリスク管理や採用ミスマッチに関する不安から活用を躊躇する様子もみられた。
スポットワーカーの「活用に前向き」な企業の割合を主な業界別でみると、『小売』(50.6%)は全体(38.1%)を12.5ポイント、『運輸・倉庫』(46.8%)は全体を8.7ポイントそれぞれ上回った。
『運輸・倉庫』では「季節要因への対応として一時的にスポットワーカーを雇っている」という声が見られ、時期による働き手の需要変動が激しく、単発で対応しやすい業種などが「活用に前向き」な傾向があるようだ。
一方で、ソフト受託開発など「情報サービス」は23.7%と全体を14.4ポイント下回ったほか、「建設」(30.3%)も比較的低い割合となった。企業からは、「技術職なのでスポットワーカーでできることが少ない」(情報サービス)や「建築業は専門性が高い業種のため、活用は難しい」(建設)など、専門性を求められる技術職が多い業種では親和性が低いといった意見が複数あがった。
活用に興味がない企業では、ほかに品質の低下や作業効率の悪化、情報漏洩などさまざまなリスクを懸念する様子が見られた。
企業におけるスポットワーカーの活用は、自社業務との相性の見極めが欠かせないほか、費用・時間のコストおよびリスクへの対応など解決すべき課題はありそうだが、働き方の多様化と人手不足の深刻化により、スポットワークは多くの働き手と企業の有力な選択肢として期待されるだろう。
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