国土交通省関東運輸局は4月1日、東海汽船と同社所有船に対して同日付で、船員法第101条第1項に基づく「是正命令」及び海上運送法第19条第2項に基づく「輸送の安全の確保に関する命令」を行ったと発表した。
関東運輸局では、東海汽船株式会社及び同社所有船に対して、2024年11月以降、船員法第107条及び海上運送法第25条第1項に基づく立入検査を実施してきた。その結果、労働時間限度超過や、長期にわたり非常の場合のために必要な操練が適切に実施されていないなど、複数の船員法違反があることを確認するとともに、これらの違反に関連し、海上運送法に基づき同社が定める安全管理規程が遵守されていないことを確認したもの。
今後、同社において早期に全社的な改善策が講じられ、永続的かつ不可逆的に改善が図られるよう、引き続き、厳格に指導監督を行っていくとしている。
なお、命令の内容は、1.労働時間の上限を遵守すること。 2.旅客船に、旅客の避難に関する教育訓練その他の航海の安全に関する教育訓練を修了した者以外の者を乗組員として乗り組ませないこと。 3.高速船に、船舶の特性に応じた操船に関する教育訓練その他の航海の安全に関する教育訓練を修了した者以外の者を乗組員として乗り組ませないこと。 4.船員法第14条の3第2項の規定に従った操練が実施されるよう、また、航海日誌に虚偽のない記載がされるよう、全社的に改善を図ること。 5.法令遵守のため、全社的な改善策を講じ、命令の日から30日以内に改善策を報告すること。
また、命令の原因となった事実については、1.船舶所有者は、2024年6月から同年9月の間、大多数の船員を労働時間の限度(1日当たり14時間または1週間当たり72時間)を超えて作業に従事させたこと。(船員法第65条の2第3項違反)2. 船舶所有者は、長期にわたり、旅客船に、旅客の避難に関する教育訓練その他の航海の安全に関する教育訓練を修了した者以外の者を乗組員として乗り組ませたこと。(船員法第118条の2違反) 3. 船舶所有者は、長期にわたり、高速船に、船舶の特性に応じた操船に関する教育訓練その他の航海の安全に関する教育訓練を修了した者以外の者を乗組員として乗り組ませたこと。(船員法第118条の3違反)4. 船長は、長期にわたり、非常の場合のために必要な海員に対する操練について、船員法第14条の3第2項の規定に従った内容及び頻度により実施しなかったこと。(船員法第14条の3第2項違反) 5. 船長は、長期にわたり、船内に備え置く航海日誌において、実際には操練を実施していない場合においても、操練を実施した旨の虚偽の記載をしたこと。 (船員法第126条第1項第5号違反)。