日本貨物鉄道(JR貨物)が5月13日に発表した2025年3月期決算によると、売上高2007億5100万円(前年同期比6.5%増)、営業利益27億600万円(前期は47億8200万円の損失)、経常利益14億5600万円(前期は42億9100万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益67億5800万円(前期は35億500万円の損失)となった。
セグメント別の鉄道ロジスティクス事業は、売上高1804億円(6.4%増)、営業損失85億円(前期は152億円の損失)だった。
輸送サービスでは、2024年3月のダイヤ改正で、モーダルシフトの要望に応えるため、長距離輸送に加え、中距離輸送で列車の速達化と輸送力増強を行った。
2025年3月のダイヤ改正では、東京と仙台を直結するコンテナ列車の設定や、リードタイムの短縮・深夜発ダイヤの拡充ほか、要望の強い区間で輸送力を増強。近年ニーズが高まっている大型コンテナの取扱いを拡大した。
当期の輸送量は、コンテナが前期比102.8%、車扱が101.4%となり、合計では102.4%となった。品目としてはエコ関連物資が、中央新幹線建設工事に伴う発生土の運搬や「令和6年能登半島地震」で発生した石川県内の災害廃棄物の輸送等により前年を上回るなどした。
総合物流事業の推進としては、4月に大型マルチテナント型物流施設「DPL千葉レールゲート」の建設が始まったほか、トラック輸送との親和性向上に向け積替ステーションとパレットデポの設置を進め、モーダルコンビネーションを推進。グループ企業が持つアセットとJR貨物が持つ鉄道輸送を活かし、顧客に一括して提案する体制の整備を進めた。
経費面では、自然災害や列車脱線等による輸送障害の発生に伴って対応経費が発生したほか、エネルギー価格や原材料価格の上昇により、動力費などが増加した。コスト削減に努めても経営努力だけでは吸収できないコスト増分については、4月に基本運賃改定を実施。鉄道ロジスティクス事業全体としては、営業費は増加したが赤字幅は縮小した。
今後は、物流の2024年問題やカーボンニュートラルといった社会課題の解決に貢献するため、既存アセットを最大限活用することで輸送力の拡大や貨物鉄道輸送の利用促進を図る。総合物流の取り組みでは、連結子会社の「日本運輸倉庫」を「JR貨物ロジ・ソリューションズ」と社名変更し、鉄道を基軸とした総合物流企業へ進化するとともに、不動産事業の拡大と成長も目指す。
2026年3月期の業績は、売上高2143億円(6.7%増)、営業利益88億円(225.1%増)、経常利益74億円(408.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益43億円(36.4%減)を見込んでいる。
JR貨物 決算/4~12月の売上高5.5%増、営業利益24.53億円