大和ハウス工業は9月9日、東京都江東区にある都市型マルチテナント型物流施設「DPL江東深川」の見学会を開き、入居するアパレル企業ビームスが、最新ロボットなどを導入した「ビームス ウエアステーション」内を公開した。
「DPL江東深川」は、首都高深川線「塩浜IC」「枝川IC」から約0.7kmと都心に立地。東京メトロ有楽町線「豊洲」駅やJR京葉線「越中島」駅から徒歩通勤も可能な交通アクセスの良さがある。
7階建て、延床面積13万8160.29m2、賃貸面積9万131.82m2の施設のうち、3~6階の約2万9752m2を利用し、ビームスは2024年9月、東日本エリアの拠点として「ビームス ウエアステーション」を全面稼働させた。
入出荷を行うほか、自社ECサイト用の撮影スタジオ、カスタマーサービスデスクなども備え、移転して延床面積を約2倍に拡張した形だ。
<ビームスが導入したリニアモーター式ロボット「CUEBUS(搬送タイプ)」>
拡張移転を機にビームスは、複数の先端自動化システムを採用した。1つは、トラックからの荷受け後、自動でハンガーラックの搬送を担うリニアモーター式ロボット「CUEBUS(搬送タイプ)」。
床面に置いた「タイル」と呼ばれるリニアモーター内臓のユニットの上を、商品を乗せたトレイが移動する。さらには、ロボットが搬送されるタイル上に自動検品ゲートを設置し、商品タグに付いているRFIDタグを自動で読み取る。
人手でハンガーラックを搬送する必要がなく、商品をセットしたまま入出荷に利用でき、省人化と作業効率アップにつながった。
<ビームスが導入した自律型ケースハンドリングロボットシステム「HaiPick SYSTEM」>
商品の入庫・保管・出庫の自動化も実現した。「HaiPick SYSTEM」は、高さ約4.7mのラック、自律型ケースハンドリングロボット(ACR)、「HAI PORT Workstation」のモジュールで構成。エリア内を57台のACRが稼働する。
1台で複数のコンテナの入出庫ができ、天井高を有効活用することで「少量多品種」の商品を効率よく保管できるようにした。
ACRが「HAI PORT Workstation」と呼ばれるステーションに運んだ商品は、ベルトコンベヤを経て次工程のソーターシステムに到着し、店舗やEC顧客へ自動仕分けされる。
ビームスによると、拠点として「DPL江東深川」を選んだ理由の1番は、立地。通勤しやすく、作業の自動化を進めたことで、求人募集もしやすいという。
都心のため敷地内に駐車場を設ける余地はなく、施設の1階が300台分の駐車場となっている。
なお、ビームスは、カフェテリアなど施設の共用部分について内装ディレクションを担当している。アートと自然を取り込み、大和ハウス工業のハートレッド、ビームスのオレンジを配色したデザインが随所に見られる。
大和ハウス工業が取り組む「DPL地域つながるプロジェクト」では、施設見学ツアーやフード出店、ビームスによる販売会などを6月に開催したところ、周辺住民ら約800人が参加。地域に開かれた場所とすることで「次世代型」の物流施設を目指している。
■「DPL江東深川」概要
所在地:東京都江東区塩浜1-2-2
交通:首都高速深川線「塩浜IC」「枝川IC」から約0.7km、東京メトロ有楽町線・ゆりかもめ「豊洲」駅から徒歩約14分、JR京葉線「越中島」駅から徒歩約11分、東京メトロ東西線「門前仲町」駅前からバスで約10分
敷地面積:3万6504.9m2
延床面積:13万8160.29m2
賃貸面積:9万131.82m2
構造:PCaPC+S造(免震)
階層:地上7階
竣工:2022年1月
■「ビームス ウエアステーション」概要
所在地:DPL江東深川内
延床面積:約2万9752m2(約9000坪)
全面稼働:2024年9月
主な機能:入出荷、撮影スタジオ、カスタマーサービスデスクなど
大和ハウス工業/開発物件の総延床面積1431万m2、次世代型物流施設開発に意欲