米・自動認識機器メーカー、ゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーションの日本法人ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンは5月14日、「倉庫業界の展望に関するグローバル調査2025」の結果を発表した。
日本を含む世界の倉庫・物流業界の経営層と現場スタッフ計1700人超を対象に昨夏実施したもので、倉庫の「近代化」に向け経営層も現場もテクノロジーの導入に期待していることなどが分かった。
調査結果によると、世界の経営層の63%が5年以内に人口知能(AI)ソフトウェア、拡張現実(AR)などの導入を計画している。64%が「今後5年間で倉庫の近代化に向け投資額を増やす計画」だとし、63%が「2029年までにそのスケジュールを加速化させる」と答えた。
一方、EC拡大を中心に日々の注文量が増加し続けていることを背景に、現場スタッフの85%が「企業が倉庫運営を改善するテクノロジーへの投資を行わなければ、業務目標を達成できない」と回答。
さらに「自動化可能なタスクに時間を取られすぎている」(74%)、「労働災害など、多忙化する倉庫内の安全性を懸念」(72%)、「倉庫内に資格を持つスタッフが不足しており疲労や過労を懸念」(69%)といった指摘も寄せられた。
<顧客の要求が進化し倉庫業はテクノロジー導入を迫られている>
経営陣の多くが課題だと認識していることとしては、「在庫補充率」(51%)や「注文準備」(47%)、「注文精度」(41%)、「出荷プロセス」(41%)がある。
ただ人手で補完する雇用力には限界があり、現場スタッフの約90%が課題解決に役立つものとして「協働ロボット」「人間工学に基づいたモバイルデバイス」「コミュニケーションアプリ」「タスク管理ツール」などを挙げた。
現場からは「自動化およびモバイルテクノロジーの普及が、より多くのスタッフの採用と定着に役立つ」「勤務先から業務に役立つテクノロジーツールや自動化ツールを支給されると、会社から評価されていると感じる」との声もあった。
特に「倉庫の自動化」を巡っては、経営層の71%が「エラー削減」、70%が「SLA(サービスレベルアグリーメント)遵守」を挙げた。自動化によって作業員の効率と生産性が向上すると考えているだけでなく、注文エラーや手作業によるピッキングの削減が実現することに期待を寄せていることが分かる。
導入するテクノロジーとしては、マシンビジョン、フォークリフトやロボットのモバイルセンサー、パッシブRFIDタグとセンサー、固定型産業用スキャンなど、センサーが急増する見込み。
また、経営層の82%が「倉庫スタッフに追加のテクノロジーツールを提供することが、生産性の目標達成を後押ししつつ、身体的な負担の軽減、労働災害の防止にもつながる」と考え、81%が「自動化がスタッフのやる気を向上させる」と見ている。
調査を踏まえ、ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンの吉川浩二 営業部部長は「倉庫の近代化は必須で、データの精度・可視化が重要。労働力不足やエラー削減のためにも自動化が加速することは間違いない。現場スタッフも経営陣もテクノロジーの導入に賛同しており、マシンビジョンなどセンサー技術への投資が加速するだろう。生成AIや予測型アナリティクスなどAIへの投資が拡大すると見ている」と説明。
また古川正知 社長は、日本の現状について「自動化する前に、そもそもバーコードを読み取る所までいっていない現場もある。業務や荷物の位置などを可視化するにはまずデータを取っていく必要があり、まだまだDXを推進する上で改善点があるのでは」などと語った。
■調査概要
調査企画:ゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーション
調査対象:製造、小売、輸送、物流、卸売販売の従業員および経営陣1700人以上
調査地域:北米、ヨーロッパ、中南米、アジア太平洋(オーストラリア、ニュージーランド、中国、インド、日本)
調査方法:米調査会社が2024年6~7月、オンライン実施
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