帝国データバンク(TDB)は11月25日、トランプ関税に対する企業業績への影響調査(2025年度)の結果を発表した。
<トランプ関税による2025年度業績への影響アンケート回答>

結果は、日米政府間での関税交渉いわゆる「トランプ関税」の結果について、企業にアンケートを実施したもの。
調査によると、全体の約3分の1の企業が減益を見込んでいると回答。5%未満の「軽微な減益を見込んでいる」企業が18.3%、5~10%程度の「やや減益を見込んでいる」企業が12.1%、10%以上の「大きな減益を見込んでいる」企業が3.0%となり、合わせると企業の33.4%が「減益を見込んでいる」と回答した。
なお、「分からない」という回答も34.4%と多く、「影響はない」「減益」「分からない」の3パターンにはっきり分かれる形となった。一方で、「増益を見込んでいる」という回答は0.7%で著しく低く、トランプ関税が企業活動に対しプラスに働く例はほぼ見られない。
全体における「減益を見込む」企業の割合は、上記の通り33.4%となっていたが、業界別で見ると、「製造」が42.9%でトップ。特に「製造」の中でも、自動車製造に関連する「輸送用機械・器具製造」は 55.2%と極めて高い数値となった。
「運輸・倉庫」が次いで多く37.6%、その次に「卸売」が37.0%、「小売」が34.7%と続いた。
平均よりも高かったのは上記4業界であり、いずれもサプライチェーンに大きく関与する業界であったことから、物流全体が大きく影響を受けていることが伺える結果となった。
こうした結果から、トランプ関税による世界的な貿易摩擦は、企業活動全体に少なからずリスクを及ぼしている現状が浮き彫りとなった。サプライチェーンや輸出に与える悪影響への懸念が徐々に顕在化するなかで、この結果は、トランプ関税の具体的な影響範囲や、米国の保護主義的政策の展開が依然として不透明であることを強く反映しているといえるだろう。
