物流最前線/国交省 髙田課長に聞く 改正物効法全面施行で物流事業者に求められる取り組み

2026年03月03日/物流最前線

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4月1日の改正物流効率化法全面施行により、一定量以上の貨物の運送委託や受け取りを行う荷主、連鎖化事業者(フランチャイズチェーンの本部など)に対する物流統括管理者(CLO)選任義務化など、物流効率化に向けた大きな転換点を迎えるが、トラック事業者や倉庫事業者も、車両保有台数や取り扱う貨物量が一定規模以上の場合には、「特定事業者」として指定され、中長期計画の作成などが義務付けられる。これら物流サイドの特定事業者が取るべき対応や注意点などについて、国土交通省物流・自動車局の髙田 龍 物流政策課長に聞いた。取材日:2月16日 於:国土交通省

<髙田 龍 物流政策課長>
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自社が「特定事業者」に該当するか、まず確認を

――  4月の改正物効法全面施行では、CLOの選任義務をはじめ、特定荷主・連鎖化事業者に求められる対応について関心が集まっていますが、実際の物流を担うトラックや営業倉庫の事業者にも同じような枠組みが設けられるのでしょうか。

髙田  貨物自動車運送事業者と倉庫事業者についても、指定基準に該当する場合には「特定事業者」の指定に関する届出を行い、指定通知の受領後に中長期計画を提出していただく必要があります。

指定基準については、貨物自動車運送事業者等(貨物自動車運送事業者および特定第二種貨物利用運送事業者)の場合は2026年3月末での貨物自動車の保有台数150台以上、倉庫事業者は2025年4月~2026年3月末の期間に他社のトラックを使用して搬入した貨物を対象として、「入庫ごとに算定した保管量の合計が70万トン以上」となっています。

――  指定の届出は、いつまでにどのように行い、中長期計画にはどういった内容を記載する必要があるのでしょうか。

髙田  届出は5月末までにオンラインで行っていただく想定で準備を進めており、使用するシステムについては、近日中に国土交通省ホームページや物流効率化法理解促進ポータルサイトで案内する予定です。

<特定事業者は中長期計画の提出が必要となる>
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中長期計画の提出期限は、初年度の2026年は10月31日、2027年以降は7月末日で、記載内容は物流効率化に向けて今後取り組むべき事項をまとめたものになります。取り組むべき事項については、すでに2025年4月から全ての貨物自動車運送事業者等、倉庫事業者に課せられている改正物効法上の努力義務の内容です。

<改正物効法上の努力義務の取り組み例>
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貨物自動車運送事業者等の記載内容としては、例えば積載効率の向上に関して、複数荷主の貨物の積合せや同一荷主向けの共同配送、求貨求車システムを活用した帰り荷確保などの、積載効率向上に向けた取り組みが想定されます。倉庫事業者には、トラック予約システムの導入や(標準仕様)パレットの使用等による検査時間短縮をはじめとする、荷待ち・荷役等時間短縮に関する計画を記載していただく、といったイメージです。

詳細な内容については各事業者向けの「判断基準解説書」および「特定事業者の手引き」に記載していますので、計画を作成する際のご参考にしていただければと思います。解説書は、物流効率化法理解促進ポータルサイトからもご覧いただけます。

■物流効率化法理解促進ポータルサイト
https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/

倉庫での効果測定はサンプリングも可能

――  中長期計画に対する取り組みの進捗(しんちょく)について特定事業者は、どのように確認・報告すればよいのですか。

髙田  指定を受けた翌年度から毎年度7月末まで(初回は2027年7月末)、努力義務の内容に対する取り組み状況について、定期報告書を提出する必要があります。

具体的には、前年4月から当年3月までの期間、貨物自動車運送事業者等であれば積載効率の向上などに関する取り組み、倉庫事業者であれば荷待ち時間・荷役等時間の短縮に関する取り組みをチェックリストで報告する形となります。

<倉庫事業者の荷待ち時間短縮に関する取り組み例>
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加えて倉庫事業者には、自らが管理する施設または周辺の場所での荷待ち時間・荷役等時間を計測し、報告していただきます。荷待ち時間・荷役等時間の計測・報告には、費用や作業負担等の観点からサンプリングにより把握することも可能です。

サンプリングによる測定では、「保管量の半分程度を把握することを念頭に対象施設を選定、四半期ごとに任意の連続した5営業日以上を対象期間とし、当該施設・期間での全ての受け渡しについて計測すること」を最低条件としています。

――  計画や報告で特定事業者が気を付けることはありますか。

髙田  今年4月1日施行の内容は、物流全体への寄与度がより高い大手の事業者を指定し、特定事業者の取り組み状況を把握することで、物流効率化に向けた取り組みを一層進めることを目的としています。

そのため、特定事業者には昨年4月1日から努力義務となっていた積載効率の向上をはじめ、荷待ち・荷役等時間の短縮に向けた各社での計画や取り組み状況について、実態把握のためにも是非とも具体的な内容を報告していただきたいと思います。

荷主と寄託契約を締結している倉庫事業者が管理する寄託倉庫については、寄託者である荷主が荷待ち・荷役等時間の短縮に努めるべき対象施設となるため、倉庫事業者だけでなく荷主も荷待ち時間等の短縮に向けて取り組んでいただく必要がある点には注意が必要です。

当該寄託倉庫での取扱貨物重量は特定荷主の指定基準重量に計上されますが、特定荷主の荷待ち・荷役等時間の計測対象からは除外されるため、特定倉庫事業者となる場合には荷待ち時間等を計測していただく必要がある点にもご留意いただきたいと思います。

――  事業者の取り組みを国はどのようにチェックし、不十分な場合にはどのような措置を行うのでしょうか。

髙田  まずは提出された報告書を確認し、必要な場合には調査を行うことになっており、調査方法はアンケート形式になるものと考えています。

<判断基準に基づく取り組みを的確に実施するため国交大臣が「指導・助言」を行うことがある>
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特定事業者に限らず、貨物自動車運送事業者等・倉庫事業者の判断基準に基づく取り組みについて、適確な実施を確保するために必要があるときには、国土交通大臣が「指導・助言」を行う場合があります。

特定事業者に対しては、努力義務に関する取り組み状況が判断基準に照らして著しく不十分である場合は、国土交通大臣から特定事業者に対して「勧告・命令」を実施することができ、勧告に従わない特定事業者に対しては、その旨を公表することがあると定められています。

罰則規定として、特定事業者の指定に関する届出や中長期計画・定期報告等の提出を行わない場合や、報告徴収の際に虚偽の報告を行った場合などに50万円以下の罰金が科されることがあります。

「トラック適正化二法」も同時にスタート

4月1日には、改正物効法の全面施行と併せて、いわゆる「トラック適正化二法」(改正貨物自動車運送事業法、貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律)の枠組みも動き出す。

改正貨物自動車運送事業法では、委託回数の制限や書面交付義務・実運送体制管理簿作成義務対象者拡大、白トラ(自家用トラック)利用に対する厳罰化が行われる。

白トラを利用した荷主等は100万円以下の罰金に処されることがあるほか、白トラへの関与が疑われる荷主等は「トラック・物流Gメン」による是正指導の対象となる。

委託回数の制限では、元請事業者に対して再委託の回数を2段階までに制限する努力義務を規定。書面交付・実運送体制管理簿については、元請としてトラックを利用する貨物利用運送事業者にも作成義務が新たに課される。

貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律は、これらの仕組みの実効性を担保するための体制整備や財源の確保、施策推進のための会議体設置などを定めている。

「トラック適正化二法」も、改正物効法と同様に物流の持続可能性確保や国民経済の健全な発展などを目的としており、今後は適正原価の告示や許可更新制度の施行などが予定されている。

※「トラック適正化二法」の詳細はトラックニュースで。

<「さらに取り組みのギアを上げる」と抱負を述べる髙田 物流政策課長>
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物流改革に向けたダッシュ、ギアを上げ成果につなげる

――  トラック・倉庫事業者の取り組みを高い成果につなげるには、どういったことが重要であるとお考えですか。

髙田 やはり荷主や消費者の協力をいただきながら進めていくということが一番大事なポイントだと思っています。荷主に関しては物流統括管理者(CLO)の選任が義務付けられますが、事業の運営方針などをCLO一人でというよりは、むしろ社内外の関係者と連携したり、高度物流人材と呼ばれている人たちも含めたチームでやっていただくということが効果的だと思います。その中で、リードタイムをきちんと確保していくとか、倉庫事業者から「パレットを使ってほしい」などの求めがあった時に真摯(しんし)に対応することなどが重要になってきます。荷主の理解と協力のもと、物流事業者と一緒に積載効率を高めたり、荷待ち・荷役等の時間を縮減していくことなどを通じて、全体として物流の効率化、さらに言うと持続可能性を高めることにつながると思っています。

<CLOの役割イメージ>
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――  高度物流人材の確保・育成は荷主の経営にとって重要なテーマですね。

髙田  荷主の会社内で、「物流」の広い部分をきちんと見ていただく人材を育てる、もしくは確保するということは重要です。さらに言うと、物流部門の地位を上げていくことも必要で、そうした人材の立場や物流への意識が荷主の会社内で強くなってくると、カウンターパートの物流会社側も能力を高めていただく必要が出てくる。物を俯瞰(ふかん)して見るとか、これまでの経験や勘だけではなく、しっかりデータや根拠などで見ていくなどの能力が求められると思います。単に荷主にCLOを置きましょうということにとどまらない、物流企業側の成長にもつながる効果があると考えています。

――  物流の持続可能性を図ることは、今後の日本の社会や経済にとって大変重要なテーマですね。

髙田  今進めている物流の効率化や持続可能性確保の取り組みは、いわゆる「物流の2024年問題」をきっかけとした国民運動のようなものだと思います。国交省では、さらなる取り組みが求められている2030年までを「物流革新の集中改革期間」と位置づけており、さまざまな政策メニューを通じて、物流をより魅力ある産業にしていく方針です。魅力ある、稼げる、それによって人材が集まってくる、そして物流で社会を良くしていくというような産業になり、持続可能性を高めていくということができればいいと思います。そういった考え方が議論の大詰めを迎えている次期総合物流施策大綱などの中でしっかり位置付けられればと思っています。

――  2026~2030年度は、次期総合物流施策大綱のほか、物流に関する取り組みの方向性も示されている第3次交通政策基本計画や第6次社会資本整備重点計画の対象期間でもあります。4月1日はそれらが始まる重要なスタート地点ですね。

髙田   確かに新たな大綱・計画のスタートではありますが、実際にはさまざまな議論や取り組みを進めてきており、すでにダッシュしているような感覚です。今後もダッシュを続けながらさらにギアを上げ、これまで実証実験的にやっていたようなことも、少しずつ社会への実装が進んでいく5年間となるように、しっかり取り組んでいきたいと思っています。一つ例を挙げるとすれば、レベル4の自動運転トラックの早期社会実装があります。国交省では、大臣をトップとした自動運転社会実現本部を1月に立ち上げ、物流・自動車局と道路局が中心となって、自動運転社会の早期実現に向けた議論や検討を加速させています。

――  さまざまな取り組みが実を結ぶといいですね。ありがとうございました。

取材・執筆 奥田岳人

■プロフィール
国土交通省 物流・自動車局物流政策課長
髙田 龍(たかた・りょう)
2000年4月  建設省採用(道路局路政課)
2013年7月  国土交通省 道路局 路政課 企画専門官
2014年8月  官民交流(三菱地所株式会社)
2016年8月  国土交通副大臣秘書官事務取扱
2018年7月  国土交通省土地・建設産業局 総務課 企画官
2019年7月  〃 道路局 総務課 企画官
2020年7月  〃 住宅局 総務課 民間事業支援調整室長
2021年7月  内閣府 政策統括官(防災担当)付 参事官(被災者生活再建担当)
2023年7月  独立行政法人住宅金融支援機構 業務企画部長
2025年7月  国土交通省 物流・自動車局 物流政策課長(現職)

物流最前線/駒澤大学 若林教授に聞く、法改正をチャンスに変える企業の視点と対応

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