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公取委/荷主から支払遅延等不利益を受けた物流事業者6.6%

2015年03月11日/調査・統計

公正取引委員会は3月11日、荷主と物流事業者の取引で荷主による優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為が行われていないかについて調査報告をまとめ、発表した。

それによると、取引の状況では、荷主と物流事業者との取引での書面の交付状況については、多くの荷主は主要な物流事業者に物品の運送等の委託を行うに当たり、書面を交付していると回答している(81.1%)が、書面を交付していないと回答した荷主も一定数見受けられた(18.9%)。

また、代金の支払方法について、荷主のうち約2割が主要な物流事業者に対し手形による支払を行っていると回答し、120日を超えるサイトの手形で支払っている荷主も一定数見受けられた。

代金の支払遅延等の状況では、荷主と物品の運送等に係る取引を行っていると回答した物流事業者4620名のうち、主要な荷主から、物流事業者に責任がないなど荷主の都合による代金の支払遅延等の不利益を1つ以上受けたと回答した物流事業者は306名で、その割合は全体の6.6%であった。

<行為類型別の状況>
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行為類型別にみると、物流事業者に責任がないのに「代金の減額」を受けたと回答した物流事業者が188名で、その割合は全体の4.1%と他の行為類型に比べて特に高くなっている。

物流事業者が不利益を受け入れた理由については、「今後の取引数量、取引高等に影響があると自社が判断したため」とするものが171事例(44.3%)、「荷主から今後の取引数量、取引高等への影響を示唆されたため」とするものが84事例(21.8%)だった。

物流事業者は、主要な荷主との取引の継続への影響を考慮して,やむを得ず不利益を受け入れていることも少なくなく、こうした荷主の行為は優越的地位の濫用規制上問題となり得るものであるとしている。

<物流事業者の年間売上高との相関>
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物流事業者の年間売上高との相関では、年間売上高「1億円以下」の区分で最も割合が高くなっており、年間売上高が小さい物流事業者ほど、代金の支払遅延等の不利益を受けたとの回答があった割合が高くなるという傾向がみられた。

燃料価格上昇に伴う代金の引上げの状況では、回答のあった3050名のうち、約半数が代金の引上げを要請していた(50.4%)。このうち、約7割の物流事業者から主要な荷主が代金の引上げ要請に応じてくれたとの回答があった一方で、代金の引上げ要請に応じてくれなかったという回答も一定数見受けられた(27.0%)。

このことから、調査対象期間では燃料価格が上昇傾向にあったことからすれば、主要な荷主に代金の引上げを要請したことはないと回答した物流事業者と代金の引上げ要請をしたが主要な荷主が応じてくれなかったと回答した物流事業者を合わせた3050名のうち約6割の物流事業者は燃料価格の上昇があっても代金の引上げが困難な状況にあったと思われる。

また、代金の引上げを要請したことがあると回答した物流事業者のうち約1割の物流事業者は、代金の引上げを要請しても、主要な荷主が一方的に代金を据え置いたり、交渉に一切応じようとしなかったと回答しており、このような荷主の行為は,優越的地位の濫用規制上問題となり得るものであるとしている。

この調査報告により、公取委は対応策として、「荷主及び物流事業者を対象とする講習会を実施し、本調査結果並びに優越的地位の濫用規制及び下請法の内容を説明する」、「荷主及び物流事業者の関係事業者団体に対して、本調査結果を示すとともに、荷主及び物流事業者が物品の運送等の委託取引における問題点の解消に向けた自主的な取組を行えるよう、改めて優越的地位の濫用規制及び下請法の内容を傘下会員に周知徹底するなど、業界における取引の公正化に向けた自主的な取組を要請するとしている。

そして、公正取引委員会は、今後とも物品の運送等の取引実態を注視し、優越的地位の濫用規制又は下請法上問題となるおそれのある行為の把握に努めるとともに、これらの法律に違反する行為に対しては、厳正に対処していくとしている。

なお、調査は荷主1万名、荷主から物品の運送等の委託を受けていると思われる物流事業者2万5000名を対象とした書面調査を行い、荷主4530名、物流事業者4620名から回答を得、また、主要な荷主から受けた行為について具体的に回答した25名を対象にヒアリング調査した。調査対象期間は、2013年8月1日から2014年7月31日。

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