公正取引委員会は6月6日、2023年度の荷主と物流事業者との取引に関する調査結果と、優越的地位の濫用事案の処理状況を公表した。
荷主と物流事業者を対象にした取引に関する調査では、荷主3万名、物流事業者4万名に書面調査を実施したうえで、労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について協議をすることなく取引価格を据え置く行為等が疑われる事案について、荷主121名に対する立入調査を実施。
これらの結果を踏まえ、独占禁止法上の問題につながるおそれのあった荷主573名に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した。
注意喚起文書を送付した荷主の上位3業種は、「協同組合」(主に農・林・水産物の販売事業等を営む協同組合)、「食料品製造業」、「飲食料品卸売業」だった。
また、問題につながるおそれのある回答を行為類型別にみると、「買いたたき」、「代金の減額」、「代金の支払遅延」の順に多かった。
優越的地位の濫用事案の処理状況については、2023年度に優越的地位の濫用につながるおそれがあるとして17件の注意を行った。
注意対象となった業種と件数は、「協同組合」(農産物の販売事業等を営む協同組合)3件、道路貨物運送業2件、食料品製造業2件、プラスチック製品製造業2件、金属製品製造業2件などとなっている。
注意の内容としては、「不当な給付内容の変更とやり直し」が33件中12件と最多で、次いで「代金の減額」が8件、「不当な経済上の利益の提供要請」が7件と続いた。
公取委は、今回の調査結果について、関係省庁と関係団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に向けた取組を推進するとともに、物流取引の状況を把握するため、今後も荷主と物流事業者との取引に関する調査を実施していく。
さらに、優越的地位の濫用に当たり得る具体的な事案に接した場合には、引き続き、独占禁止法に基づき積極的かつ厳正に対処していくとしている。