商船三井は11月30日、日本無線、JSAT MOBILE Communicationsと共同で、航海情報記録装置(VDR:Voyage Data Recorder)に記録されるデータを、大容量高速衛星通信サービス(インマルサット社の提供するFleet Xpress)を用いて、陸上と共有できるネットワークを構築することに成功した。
VDRは、船の動静データ(位置情報や速度、主機回転数など)、船橋内での音声やり取り、航海計器であるレーダーや電子海図(ECDIS)の画像データなどを記録する装置。
航空機のフライトデータレコーダーとコックピットボイスレコーダーに相当するもので、海難事故に備え、事故に至った経緯や原因を内部に蓄積されたデータをもって解析、究明することを目的とし、国際航海に従事する大型貨物船や旅客船への搭載が国際条約により義務付けられている。
従来、VDRデータは船上の本体内に蓄積されており、データを陸上に送るためには、ハードディスクドライブなどの補助記憶装置へ保存し、郵送する必要があった。
今回、VDRが収集している本船の各種航海計器や主機関連の情報を、陸上でリアルタイムに受信してモニタリングし、受信データを陸上の電子海図(ECDIS)に転送して、海図上での本船の動きを把握できるようになった。
陸上でVDRに記録済の過去データが必要な時に、衛星通信回線を利用していつでも入手できるようになった。
今後、将来の遠隔操船に繋がる要素として位置づけ、運航船全船への展開も視野に入れ、さらなる「洋上の見える化」について研究を続ける。