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物流最前線/ZOZOの物流戦略

2019年06月10日/物流最前線

<プロロジスパーク習志野4(ZOZOBASE習志野)>

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<プロロジスパークつくば1-A(ZOZOBASEつくば)>

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<プロロジスパークつくば1-B (ZOZOBASEつくば)>

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<プロロジスパークつくば2完成予想バース(ZOZOBASEつくば)>

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完全自動化に向けては慎重に、物流施設の運営は職人技

―― このところ物流施設を拡充していますが、基本的な物流に関する考え方とは。

大蔵 基本的にZOZOTOWNに出店している企業の商品はすべてZOZOBASEで在庫を預かり、保管しています。委託販売なので、こちら側からの入荷数の相談は行っても、厳密なコントロールは行っていません。データ連携している企業からは納品書が届きますが、それも当日か1日前ということがほとんどです。それを、これまでの経験に基づく予測を頼りにスタッフを配置して、受入れ体制を整えています。まさに、職人技のような世界です。

―― 次のシーズン、どれくらい入ってくるか分からないということですか。

大蔵 そういうことです。ただし、目安としている指標もあり、出店企業が掲げた売上目標や、前期からの推移等のデータから予測しています。そこから、保管スペースを確保し、ヤマト運輸さんへの配送の手配や、スタッフの準備等を行っています。倉庫等の新設もこの考え方から進めています。もちろん、倉庫等の新設となると、2~3年前くらいから調査をしながら、検討を進めています。

―― 現在、千葉県に4棟の物流施設と茨城県つくば市に1棟の物流施設を展開しています。

大蔵 2018年10月に茨城県つくば市にプロロジスパークつくば1-A(ZOZOBASEつくば)を開設。同じく、つくば市に2019年10月竣工予定で、6万5000m2のプロロジスパークつくば1-B(ZOZOBASE)を新設、2020年2月には千葉県習志野市に7万2000m2のLandport習志野(ZOZOBASE)、2020年10月には茨城県つくば市に11万m2のプロロジスパークつくば2(ZOZOBASE)を開設する予定です。

―― 千葉県に開設したのは分かりますが、つくば市に開設した理由とは。

大蔵 当初千葉県を予定しており、いくつか候補はあったのですが、労働力確保に課題があるなど、求めていた条件を満たす最適な物件がありませんでした。さらに、配送においては、ヤマト運輸さんの主管支店の受け入れ環境として適切かどうかも重要な検討材料でした。
プロロジスさんから以前よりご提案いただいていた、つくばでの拠点開設のお話を検討したところ、諸条件を満たすことが分かり、つくばへの拠点開設を決めました。また、アルバイトスタッフ500人の募集が2週間程度で埋まるなど、雇用の面でも、つくばへの開設は正解だったと思います。

―― 学生が多かったのですか。また、男女比は。

大蔵 いいえ、学生は少ないですね。習志野のZOZOBASEの男女比は半々ですが、つくばのZOZOBASEは2:8で女性が多いです。

―― 先ほど、ほぼほぼ人の手で、物流施設を運営していると伺いましたが、自動化への方向性は。

大蔵 4~5年ほど前から、自動化については真剣に考えていますが、「自動化」という言葉自体、まだとても抽象的な言葉です。個人的な感覚ですが、倉庫の中で自動化を図るとすれば、省人化と省力化のための自動化があり、近年の自動化はほぼ「省力化」を意味していると思います。真の意味の省人化は、現在の技術の組み合わせではまだまだ難しいことが多くあります。当然、メーカーさんが開発・構築されているソリューションにはめ込む物流は可能かもしれませんが、当社のような形態では、大なり小なり独自のものがありますので、そこはカスタマイズしていかなければなりません。現時点の技術ではまだ、そこをカスタマイズしていく過程で、コスト的に見合わなくなってしまいます。

―― 独自のものとはどのようなものですか。

大蔵 例えば、当社ではアパレル製品を扱っていますが、ピッキング作業一つとっても、袋に入った衣服等をピッキングするのはとても難しいのです。機械等で吸着してピッキングするとしても、ZOZOBASEに入荷してきた商品は箱ではなく袋に包まれていますので、商品ごとに、その吸着程度の加減の調節も必要です。ピッキングで人間と同じことが出来るようにするには技術のイノベーションが必要で、感覚のセンサーとアクチュエータ(移動したり調整したりすることで、デバイスをオン/オフする機構)が次のステージに行かないと、手と同様の行為は難しいと考えています。現在の自動化はまだまだ人の手が介在している段階なので、完全に自動化するにはまだ早いと考えています。

―― 当面、自動化は考えていないと。

大蔵 いえ、当然社内でも独自の開発・研究は続けています。外部のメーカーさんとの共同開発を当社開発子会社のZOZOテクノロジーズの方で進めています。私も技術出身で、大学時代からロボットの研究をしていました。物流分野での自動化は、ありとあらゆる要素が入っており、開発する側からは一生研究ができるくらいの宝の山です。棚とか箱とか、ある程度要件定義が決まっており、それに、移動、棚分け、棚卸、梱包、検品、出荷とさまざまな要素が絡んできます。私もできれば研究には関与し続けたいですね。

<大蔵峰樹 フルフィルメント本部執行役員>

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<ZOZOBASEでくつろぐ従業員>

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