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物流最前線 野村不動産の物流施設開発戦略

2019年10月01日/物流最前線

空間提供者としてサービスを拡充

――   デベロッパー各社はここ数年さまざまな新機軸を加えていますが、その一つ、アメニティの充実については。

山田 これは大切なことです。例えばカフェテリアなどは、従業員の憩いの場所として設置されていますが、ただ、広い綺麗なカフェテリアを作れば良いというわけではありません。野村不動産では、毎年、テナント会社にお願いして、社員が倉庫体験を1日から3日間、行なっています。実際に働いてみると、大きなセンターでは、カフェテリアまでたどり着くのに、5分以上かかることがあり、貴重な休憩時間の内、10数分が移動に取られてしまいます。そこで、センターの左右に2箇所、規模を小さくしたカフェテリアを設置しました。また、キッチンカーを呼んで、暖かい食事を提供することもやっています。究極的には食堂を設置できれば良いのですが、コスト的に合いませんからね。

――  実際に働いて利用しての改善ですね。

山田 カフェテリア自体、お昼は混みますが、それ以外は閑散としています。稼働率を上げるためにはどうすれば良いかと考え、間仕切りを設置して、会議室に使えるようにするとか、採用の面接に使えるようにするとか、さまざまなアイデアを実行しています。さらに、掲載料無料で各LandportのWebサイトで、倉庫内の様子を紹介するなどで、企業の採用の支援も行なっています。テナントからは、何年か振りにドライバーの応募があった等、好評を得ています。物流施設という空間提供者にとり、テナントにより良いサービスを拡充していくことは、当たり前のことです。そして、常に現場の声を聞きながら改善を図っていくもりです。

――  最後に、今後の展望を。

山田 今後もカテゴリーマルチをしっかり育てていこうという点が1点、それに伴い、これまで年間400億円、5〜6万坪だった開発案件を、年間600億円、8万坪に開発のスピードを上げて行きます。差別化の難しい物流施設ですので、簡単ではありませんが、もっともっと深く学び、市場の中で、シェアを獲得していきたいと考えています。

――  大変な業務ですが、ストレス等の発散は。

山田 2004年ごろのあまり市場がない時期からこの事業に携わっていますので、仕事自体はとても楽しいものと感じています。やれること、やらなければならないこと等、課題がいっぱいあるので、それに挑戦するのは楽しいですね。ストレスがないとは言いませんが、そういう時はゴルフで頭を空っぽにします。

<山田譲二執行役員>

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野村不動産
都市創造事業本部 開発部・物流事業部担当
執行役員
山田譲二
■プロフィール
氏名:山田譲二
出身地:神奈川県
生年月日:1970年3月27日
学歴
1992年3月 明治大学工学部卒
職歴
1992年4月 野村不動産入社
2011年10月 野村不動産投資顧問 資産投資部長、兼金融商品投資課長
2013年4月 物流施設事業部長
2018年4月 野村不動産執行役員 都市開発事業本部 物流事業部長嘱託
2018年10月 執行役員 都市開発事業本部 物流事業担当
2019年4月 執行役員 都市創造事業本部 開発部、物流事業部担当

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