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物流最前線 野村不動産の物流施設開発戦略

2019年10月01日/物流最前線

顧客のニーズを整理し、カテゴリー毎に最適化

――  御社の特徴に、現在では一般的となったマルチテナント型、BTS型に加えて「カテゴリーマルチ」という、ある意味第3の選択肢を提供しています。

山田 おっしゃるようにマルチテナント型、BTS型がこれまでは一般的でした。プロロジスさんがマルチテナント型を2000年前後に提案されて、標準型を作り上げてきました。私たちもそれを活用している部分もあります。7〜8割のテナントのニーズにフィットし、ある程度満足できる汎用的な施設ということで、マルチテナント型の市場を広げてきたものと思います。これは、市場に顧客のニーズがあったということです。その一方で、物流の効率化という点で、100%、高いレベルで顧客のニーズを捉えることができているかというと疑問です。それに対するのが、BTS型です。それぞれのテナント専用型というものですね。この専用という部分をどこまでやるかについてはいつも議論になるところです。

――  専用施設なら要望に沿うのが当たり前のような。

山田 そうですね。例えば、もしA社寄りに作り込みすぎると、B社には全く使えない施設になるかもしれません。建物自体は50年100年持つものですが、途中でA社が退居することになった場合、作り直し、リニューアルが必要になります。そのコストは顧客に転化せざるを得なくなりますね。それで本当にいいのかと。最近では、機械化や自動化の進展等で10年先でさえ、見通せなくなっています。

<カテゴリーマルチ概要図>

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――  図で見ると、ちょうど中間的なイメージですね。

山田 図で表すと、こういうイメージですが、これまでのマルチテナント型とBTS型だけでは、顧客のニーズに応えることはできないと感じています。ですから、この辺を整理して、カテゴリー毎に業務を整理すれば、それぞれの業界ごとに今より最適な施設を提供できるのではと考えたわけです。現在、通販、アパレル、工業材、保守パーツ、飲料、パレット重量物というカテゴリーを展開していますが、さらに多くの業界を増やして行きたいと思っています。

――  業界毎に標準的な利用ができる施設作りということですか。

山田 そういうことです。ある程度、テナント寄りの作り込みをしつつも、マルチ型の需要を加えながら、作り込みしていくことをポイントとしています。施設の基本スペックをダウンする方向性ではなく、すべてアップしつつ、マルチに展開できるものがカテゴリーマルチ型の特徴です。

――  今後、自動化、機械化が進むと思われますが、その展開も難しいですね。

山田 自動化はいろいろな段階があると思っています。今、カテゴリーごとに整理しようとしていますが、そこでのオペレーションが見えてくると、自動化も自ずと見えてきます。先ほど施設の基本スペックをアップすると申しましたが、すでに、機械化を見据えた防火区画のシャッター化、電気容量確保による自動化対応(キュービクル増設/特別高電圧受電)、床荷重、梁下有効高等、標準スペックとして採用し、基本スペックをしっかり上げています。

――  自動化、機械化についても標準の提案を目指していると。

山田 当然、顧客も考えていますので、それをヒヤリングして標準的に取り込めていければ、満足してもらえると思います。機器やマテハン類もコスト的に大きな障害になりますので、テナント間で共用できるような利便性を高めた環境も作って行きたいと考えています。

――  機械化、自動化は時代の趨勢ですね。

山田 労働人口が減少するのが確実なだけに、自動化は避けることはできません。機器類も毎年良いものが出てくるので、どの時点で自動化に踏み切れば良いのかは、迷うところですが、そろそろ判断しないとまずいという雰囲気になっていますね。カテゴリーマルチ型は、始まったばかりですが、一筋縄で行かないのは覚悟しています。今の所、顧客のオペレーションを熟知すればするほど、私たちの視点も物流事業者の視点に近づいている感じがします。

<Landport沼南Ⅰ>

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<Landport沼南Ⅱ>

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