2007年にLandportブランドで厚木に物流施設開発を開始した野村不動産。現在までに26棟34万6000坪(約114万1800m2)の物流施設開発の実績を持つ。最近では、「カテゴリーマルチ」の提案で、従来のマルチテナント型、BTS型に加え新しい方向性を模索するなど、積極的な動きを見せている。さらに今後の開発スピードを一段とアップして、拡充した物流施設開発で顧客のニーズに応えようとしている。同社の物流不動産開発に当初から携わってきた山田譲二執行役員に、野村不動産のLandportブランドの誕生から、「カテゴリーマルチ」の提案、自動化の進む今後の倉庫需要まで、語ってもらった。
<2007年に竣工したLandport厚木>
Landportは大規模・高機能がコンセプト
―― Landport東習志野、Landport川口と、このところ大規模物流施設の竣工が続いていますが、まず野村不動産の物流施設開発の経緯から。
山田 2007年にLandport厚木を竣工したのが物流施設開発の始めですね。これが私たちの開発案件の1号となっています。竣工なので、実際には2004年から取り組んできましたが、その時からLandportブランドを使用しています。これまで、商業施設や賃貸住宅、オフィス等を手掛けていたわけですが、当時、大規模・高機能な物流施設が不足していた現状に応えていこうということから、この分野に参入したわけです。
―― Landportブランドのコンセプトは。
山田 大規模・高機能をコンセプトにしています。1棟貸しのBTS型もありますが、基本マルチテナント型でテナントの入れ替えが可能な物流施設として開発していこうとしています。これは、後の「カテゴリーマルチ」の提案にも繋がってきます。
―― 現在までの開発物件は。
山田 現在までにポートフォリオに組み込んでいるのは、31棟34万6000坪(約114万1800m2)です。この中には、Landportブランドではない、ロジスティクスセンターや物流配送センター等の物流施設があります。これは、私たちが1から開発したものではなく、既存の物流施設を購入したものです。2012年、2013年に集中していますが、実は、2007年から2013年までは、野村不動産本体ではなく、野村不動産投資顧問という会社が物流施設開発の事業を行なっていました。私も当時は野村不動産投資顧問で業務を行なっていました。
―― 2013年から野村不動産の事業になったと。
山田 そうです。野村不動産投資顧問では、投資家からお金を集めて、さまざまな事業を行うというスタンスでしたが、リーマンショック等でさまざまな環境変化もあり、安定的に事業を行うには、デベロッパー側で開発の機能と資金を持ってやる方が良いだろうということになりました。
―― 既存の物流センターを購入した理由とは。
山田 歴史的に私たちは商業施設や賃貸住宅、オフィス等を手掛けており、そのノウハウは蓄積されていましたが、2000年ごろに物流施設を開発しようと決めたものの、そのノウハウの蓄積はあまりなく、既存の物件を購入してそのノウハウを身につけようとしたわけです。しかし、実際、物件を購入しても本当の物流ニーズを捉えきれない、ということがわかりました。購入した物件はほとんどが今でいうBTS型の物件で、ある特定の顧客の要望によって作られたもので、汎用型の物流施設を開発するノウハウへの反映はできなかったものと思います。そこで、Landportシリーズをスタートしたわけです。