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日通/ソフトバンクグループとの5Gスマート物流実証実験を公開

2020年02月25日/IT・機器

日本通運は2月25日、東京都練馬区にある江古田流通センターで、ソフトバンクグループのWireless City Planning(WCP)社と共同で実施している5Gを活用したスマート物流の実証実験について、報道陣にデモンストレーションを披露した。

<実証実験が行われた江古田流通センター>

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この実験は、WCPが総務省から「令和元年度5G総合実証試験」を受託し、日本通運の協力を得て実施したもの。物流過程のうち、「ファーストワンマイル」にあたる集荷作業について、情報を可視化する「オンデマンド集荷」の実現を目指した。

<ソフトバンクの可搬型5G設備「おでかけ5G」>

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<トラック荷室内に設置したLiDAR>

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<荷物を模した段ボール内に取り付けた加速センサー(スマホを利用)>

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実験では、敷地内にソフトバンクの可搬型5G設備を設置。荷物やトラック荷台に取り付けた各種センサーから「貨物状態」「積荷」「積載状態」「位置」に関する情報を取得し、5GとIoT機器向けのLTE規格「Cat. M1(カテゴリーエムワン)」を併用して、管理者へリアルタイムに情報を伝送した。

<LiDARによる点群データ。手前に来るほど黄色に表示され、3Dで荷室内の状況を把握できる>

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<センサーから読み取った荷物の加速度データ>

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積荷状態の確認では、トラックの荷室上部に設置したLiDAR(レーザースキャナー)から室内の点群データを取得し、荷室の空き状態を可視化。貨物状態の確認では、荷物に模した段ボール内に加速度センサーを取り付け、センサーの情報をもとに荷物が積み込まれたかどうかを判断した。

今後は、これらの技術を実用化することで、トラックの積載率を把握し、空いたスペースを有効活用することができるほか、ドライバーが行っていた積み込み確認が省略され、作業負荷の低減が期待される。

<トラックの積載情報と位置情報を用いた自動マッチング>

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また、トラック積載情報にトラックの位置情報を加えることで、「トラックと荷物の自動マッチング」が可能。江古田流通センターと同時期に奈良ロジスティクスセンターで行われたマッチングシステムの実証実験では、トラック手配の工数削減で1か月あたり600分を要していた作業時間が75%減の45分に短縮され、担当者の業務負担低減に寄与することが実証された。

<WCP社の田島課長>

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WCP社 先端技術開発本部 先端技術研究部 5G試験課の田島 裕輔課長は、「実証実験に用いたシステムの実用化については、小型・軽量・低価格の各種センサーデバイスなどの開発といった技術的課題や、共同集荷を行うための事業者間の事業形態や事業特性、商習慣の違いといったビジネス面での課題を克服する必要がある。今後は、これらの課題を解消するとともに、日本通運やヤマト運輸、佐川急便などの物流事業者と協議し、5Gの利活用について検討を進めていきたい」とコメントした。

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