日本財団/2025年に無人運航船実用化、5事業体へ34億円支援

2020年06月12日 

日本財団は6月12日、無人運航船の実証実験を行う5つのコンソーシアムに対し、2021年度に総額34億円の支援を行うと発表した。

<集合写真(提供:日本財団)>

支援の対象となったのは、三菱造船など2社、丸紅など4社、日本海洋科学など22社、商船三井など8社、ITbookホールディングスなど5社による各コンソーシアムで、日本財団が「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」として2019年10~11月にかけて公募した6事業体の中から選定された。

今後、各コンソーシアムは日本財団の支援を受けて2021年度末まで実証実験を行い、2025年までに無人運航船の実用化を目指す。無人運航船の実現によって、高齢化による船員不足やヒューマンエラーによる海難事故などの課題解決を図るほか、2040年に既存船舶の50%が無人運航船に置き換わることによる年間1兆円の国内経済効果の創出を目指す。

<日本海洋科学など22社のプロジェクトで使われるコンテナ船(提供:DFFASプロジェクト)>

各コンソーシアムによって行われる実証実験は、船舶交通が多い輻輳海域での航行や、長距離航行、大型船を用いることなど、さまざまな観点で世界初の取り組みが計画されている。

日本海洋科学が代表を務め、日本郵船やNTT、JMUなど計22社のコンソーシアムによるプロジェクト「DFFAS(Designing the Future of Full Autonomous Ship、ディファス)」では、国内外の船級や大学などの研究機関などとのオープンコラボレーションによって、内航コンテナ船を用いた実証実験を行う。

実験は、世界初の輻輳海域(京浜港~苫小牧港間)での無人運航の実証となり、離着桟・計画航路運航・避航の自動化や、陸上での監視・診断・結果の本船へのフィードバックといった支援機能、緊急時の遠隔操船など、無人運航船に求められる機能を網羅した包括的なシステムの開発・実証を目指す。

また、オープンコラボレーションによる取り組みで、多様な社会の技術の底上げを図ると同時に、技術の標準化によって日本の国際競争力向上を図る。

<商船三井など8社が用いるコンテナ船(提供:井本船舶)とカーフェリー(提供:商船三井フェリー)>

商船三井など8社のコンソーシアムでは、内航コンテナ船とカーフェリーを用いた自動離着桟、自動操船、係船支援、陸上監視支援の技術開発と実証実験を行う。

係船支援では、ロープを手繰り寄せるための投綱(ヒービングライン)を人に代わってドローンが行うことで、船員総出で行う離着桟・係船作業の省力化を目指す。

また、各技術について複数の船舶での実証を通じて、船舶の特性の違いによる影響を検討し、課題を把握した汎用性の高い技術の構築につなげる。

<日本財団 海野常務理事(提供:日本財団)>

日本財団の海野 光行常務理事は、支援の意義について「5つのコンソーシアムによる実証実験によって無人運航船を一般社会へアピールし、無人運航船の普及への課題の一つである社会認識の醸成を図ることが支援の狙い。日本は海洋産業で国際基準化、標準化の主導権を握れず世界から後れをとっているため、オールジャパンのプロジェクトによって世界の先導をきれるようにしたい」とコメント。

<日本財団 笹川会長(提供:日本財団)>

また、同財団の笹川 陽平会長は「日本の経済成長は、産業界のイノベーションの遅れから世界的にあまり評価されておらず、海洋産業では特に造船分野が受注量の面で世界から後れを取っている。イノベーションを起こすには、大手企業とIT等を手掛ける先端企業とが組んで事業を進めることが効果的だ。今後の実証実験によって無人運航船の実用化と普及を促し、日本発のイノベーションを創出することで、日本の伝統的産業である造船・海運の振興を目指す。無人運航船を2025年に実用化、2040年に既存船の半数にまで普及させる目標は、技術的に可能だと思っている」と述べた。

<無人運航船プロジェクトのロゴマーク(提供:日本財団)>

■コンソーシアムの構成企業とプロジェクト
「スマートフェリーの開発」
構成企業:三菱造船、新日本海フェリー

「無人運航船@横須賀市猿島」
構成企業:丸紅、トライアングル、三井E&S造船、横須賀市

「無人運航船の未来創造〜多様な専門家で描くグランド・デザイン〜」
構成企業:日本海洋科学、日本郵船、NTT、日本無線、ウェザーニューズ、ジャパンマリンユナイテッド他合計22社

「内航コンテナ船とカーフェリーに拠る無人化技術実証実験」
構成企業:商船三井、井本商運、井本船舶、MOLマリン、商船三井フェリー、セキド、古野電気、三井E&S造船

「水陸両用無人運転技術の開発〜八ッ場スマートモビリティ〜」
構成企業:ITbookホールディングス、エイビット、埼玉工業大学、長野原町、日本水陸両用車協会

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