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JLL/物流不動産市場は旺盛な需要で空室率は過去最低

2020年11月16日/調査・統計

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ジョーンズラングラサール(JLL)は11月16日、「物流不動産市場の現状と未来」と題したレポート記事を発表した。

<需要と供給の推移>
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それによると、東京圏の物流不動産の市場動向は、第2四半期にオンライン小売業、3PL企業等による旺盛な需要が持続し、大型の新規供給を吸収したことから、ネットアブゾープション(吸収需要)は40万6000m2となり、上半期までで139万7000m2と半期では2019年上半期の値を超え、過去最大となった。

一方、2020年上半期の東京圏の新規供給は15棟137万1000m2(第1四半期:98万2000m2、第2四半期:38万9000m2)となった。

物流賃貸市場に詳しいJLL日本 リサーチ事業部 谷口 学氏によると「四半期ベースで新規供給が50万m2を超えるのは珍しく、過去平均と比べても供給量は急拡大している」と指摘。にもかかわらず 第2四半期の東京圏物流賃貸市場の空室率は0.6%、前期比0.1ポイ ント、前年比2.7ポイント低下し、4四半期連続で過去最低を更新となった。

谷口氏によると「第1四半期に竣工した物流施設はベイエリアに比べて需要が低いとされる内陸部の立地であっても半年以内の満室稼働となっている。2017年-2018年頃だと同様の立地条件だと1年以上も空室が続くケースもあった」といい、コロナ禍にあっても需要はさらに底堅い様子だ、としている。

賃料と価格については、需要が堅調でありながら賃料が下落した理由は新規供給物件が相体的に賃料の低い内陸部に集中したため、第2四半期末時点の東京圏の賃料は月額坪当たり4350円となり6四半期ぶりの下落を示した。

物流不動産の今後の見通しとして、賃貸市場では、需要は堅調となると予想されることから、 賃料は比較的安定的に推移する見通しだ。

新規供給量が100万m2を超えた2016年当時も大量供給と危惧されたが、その2倍以上の供給が見込まれる2020年は、一部の内陸エリアは賃料下押し圧力を受ける可能性があるものの、谷口氏は「旺盛な需要に支えられて総体的に堅調に推移するだろう」と予想する。

また、物流不動産で進む自動化が床需要を底上げしている点も指摘。賃貸型物流施設の課題の1つとして人手不足が挙げられるが、トラックドライバーや物流施設の作業員の不足は、需要が拡大する物流業界の最重要課題となっている。これに対して、東京圏の物流業界ではロボットやAIを活用し、倉庫内業務の自動化を進めている。谷口氏は「施設内の感染防止策としてコロナ禍が自動化を後押しする要因にもなる」と指摘している。

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