SkyDriveと中電工業は8月30日、中国電力ネットワークが保有する送電鉄塔の塗装工事で1.6トン(送電鉄塔3基分)の塗料をドローンで運搬したと発表した。
<ホイストに吊す形態で約20kgの一斗缶を運搬している様子 左:中電工業 石井社長 右:SkyDrive 福澤CEO>
中電工業によると、送電鉄塔の7割程度は山間部に立地しており、同社が送電鉄塔塗装工事で使用する塗料物量は年間で10万kgに及ぶ。同社は物流ドローンを山地の送電設備メンテナンス工事に活用することで労働環境の改善や安全確保、運搬人数の削減などの効率化を実現できると考え、このほど導入することとなった。
<現場で飛行試験を実施>
物流ドローン導入に向けSkyDriveと中電工業は、現場で飛行試験を実施した。総フライト数は102フライト、総運搬量は1.6トン、日数は7月26日~8月10日のうち5日間。
<物流ドローン「SkyLift」>
実験で使用した物流ドローン「SkyLift」は、1回の飛行で30kgの重量物の運搬が可能で、30kgの荷物を運搬すると9分程度、往復1km程度の飛行が可能。また、着陸せずにどこでも荷下ろしできるホイスト機能があるため、山間部等で自動車やクレーン、ヘリコプターの活用が地形的に難しい場所や、災害時で道路が使用できない場合等、高低差運搬を中心とした場所やシーンで活用できるのが特徴だ。
また、「SkyLift」のサイズは全長1.9m×全幅1.2m×全高1.0mとコンパクトのため、利用希望の場所までワンボックスカーで簡単に運搬が可能。タッチパネルのシンプルな操作で行先を設定するだけで、自動運転で重量物を運搬できる。
今後、中電工業は自社運搬に向けた課題(安全性、作業性、操作性、経済性、オペレーターの適性判断)の整理と解決、物流ドローンを操縦できるオペレーターの育成を図る。また、将来的には中電工業が塗装工事を施工する全国の電力会社向けへの展開や、他社送電工事への活用なども目指していく。