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ANA等/最新eVTOL型ドローンで血液製剤を長距離・長時間輸送

2023年05月25日/3PL・物流企業

ANAホールディングスは5月25日、伊藤忠商事、東京都立墨東病院と共同で、ドローンを使った血液製剤輸送の実証実験を実施したと発表した。

<Wingcopter社製の最新eVTOL型ドローン>

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実証実験は、伊藤忠商事を主体者、墨東病院を共同研究者、ANAホールディングスを共同運航者として実施。取扱いが難しいとされてきた温度管理が必要な血液製剤について、同じく達成が難しいとされてきた全自動による高速での長距離安定移動の可能性と品質管理面を検証した。

実証実験では、墨東病院から茨城県稲敷郡にあるドローンフィールド KAWACHI(DFK)へ輸送されてきた管理温度帯が異なる2種類の血液製剤をドローン輸送用の保冷容器へと移し替えた後、同容器をドローンの機体に備え付けられた輸送容器に格納。遠隔地への長距離・長時間飛行を想定し、53分をかけてDFKの上空を計78.8km周回飛行した。

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ドローンの機体は、伊藤忠商事が2022年3月に資本業務提携・販売代理店契約を締結したドイツのWingcopter社製の最新eVTOL型ドローン「W198」を使用。この機体は、プロペラの可変機構によって垂直離着陸やホバリングが可能で、標準90km/hで巡行し、最長110kmを飛行することができる。

血液はその性質から、輸送にあたって緊急性と定時性の両方が求められるが、その物流を担うインフラと輸送人員の維持、離島・山間・BCP対応での血液の安定供給が課題となっており、今回の実証実験では関係者の医学監修・協力のもと、現場での運用を見据えた輸送フローを検証した。長時間飛行した後の血液製剤は墨東病院へ自動車で輸送され、後日に品質検査を実施する予定。

■実証実験の各社役割
伊藤忠商事:実証実験のとりまとめ、機材提供、運航
墨東病院:共同研究(血液製剤の提供、医学監修)
ANAHD:共同運航(機体の運航、運航支援)
スギヤマゲン:血液製剤輸送用の保冷容器の試作、提供
東邦ホールディングス:血液製剤用の冷蔵庫、冷凍庫の提供
セルート:血液製剤の病院~DFK間の自動車輸送

■ドローンの仕様
モデル:W198R1
最大積載量:4.5kg
耐風性:平均15m/s、突風時20m/s
巡行速度(標準):90km/h
最大飛行距離:110km
本体:L167cm×W198cm×H66cm
本体重量:24.9kg

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