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経産省等/物流改善へ最終とりまとめ、実行フェーズへ

2023年06月16日/3PL・物流企業

経済産業省、国土交通省、農林水産省が主催し、昨年9月から有識者らとともに実施してきた「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の第11回目の会合が6月16日開かれ、法的措置を視野に入れた「最終取りまとめ案」について、最終確認を行った。これを以て同検討会は終了となる。

検討会では、5月に行われた前回の会合で示した「最終取りまとめ案」についての意見と、6月2日、「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」が策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」を反映させた修正案について協議した。

骨格は、最終とりまとめ案と大きく変わってはいない。経営者層の意識改革を促す措置として、「一定規模以上の貨物の引渡し又は受取を行う荷主企業」が経営者層を中核として物流改善に取り組むため、物流に関する管理責任者を任命し物流改善に取り組むこと、さらには、荷待ち・荷役時間の削減、適正な運賃収受や価格転嫁等に向けた規制的措置について、次期通常国会での法制化を含めた枠組みを整備すること等が確認された。

また、非効率な商慣習等の課題を解決するため、企業規模に関わらず取り組むべき事項を「判断基準」として示し、一定規模以上の荷主企業や、物流事業者に対して、中長期計画の作成及び定期報告を行うことを義務付け、実効性確保の手段として取組状況が著しく不十分な場合には勧告・措置命令等を行う法的措置について、具体的な検討を進めるべきとした。

なお、「一定規模以上」の規模感については、現段階では明らかにされておらず、省エネ法を参考にすると、法案成立後に協議することとなる。

運賃の適正収受に資する措置としては、「メニュープライシング」や「ダイナミックプライシング」の取組等の推進について追記。「トラックGメン」を設置し、荷主等への監視体制を強化する。さらに、物流業界の働き方改革実現に向けデジタル式運行記録計の義務化も視野に入れ、デジタル技術を活用し共同配送やモーダルシフトなどの物流効率化を推進する。

最終とりまとめでは、政策パッケージに2024年度の施策効果として定量的な目標も示されていることから、その効果についても掲載した。同関係閣僚会議では、経産省・農水省・国交省からガイドラインを公表しており、今後はガイドラインをもとに荷待ち・荷役の削減、積載率向上、モーダルシフト、再配達率削減を図り、2024年度に不足する輸送力を補うことを目指す。

<施策の効果(2024年度分)>
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今回で同検討会は最終回となる。参加メンバーはこれまでを振り返り、次のようにコメントした。

荷主の協力が必要がないと現場の改善は進まない。広報の強化として法制化の前にPRしていくことも重要。正しい理解促進のため、再配達削減月間に続いて「荷待ち・荷役時間削減PR月間」をしてはどうか(NX総研 大島常務)。

物流は調べてもわからない実態、ブラックボックスだからこそ、見える化しないと改善できない。物流行政DXを進めるべき。人手不足先進国である日本でできた最も効率的な物流プラットフームは、我々の未来を照らすものになる(ローランド・ベルガー パートナー 小野塚氏)。

最終とりまとめ案が機能するよう実効性を持たせてほしい。実運送をしている事業者が、実際に労働時間が短縮されているのかフォローアップしていきたい。運賃交渉も含め、若い人が入ってくるような業界になることを期待している(立教大学 首藤教授)。

<最終回となる検討会>
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物流の問題だけではなく経営問題だと、産業界の認識も変わってきている。まずは規制的措置を掲げ、ガイドラインを策定しアクションを進めていく。中長期としてはデジタル技術も視野にいれながら新しい産業を作っていく意識で実行していきたい(経産省 茂木 商務・サービス審議官)。

6月2日の政策パッケージをまとめることができたのは検討会での蓄積があったからこそ。昨今は報道でも大きくとりあげられているが、物流の世界で仲間を広げる活動ができた。物流の問題は、2024年問題を乗り切ればすむものではなく構造問題。精一杯、実行に向けて取り組んでいきたい(国交省 鶴田 公共交通・物流政策審議官)。

最後に座長を務めた敬愛大学の根本敏則教授が「パートナーに恵まれて実力以上の仕事ができた。論客が揃って毎回楽しく司会進行することができた。取りまとめを作り上げた検討会のメンバーは内容に対し責任がある。今後、全国各地へ赴き、周知していただきたい」と締めくくった。

最終取りまとめは、本日の意見とパブリックコメントを受け、修正したものを最終版として公表する。

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