経済産業省は11月28日、2023年9月の「価格交渉促進月間」における中小企業・小規模事業者の取引状況について、中小企業庁が実施したアンケート調査とトラックGメンによるヒアリング調査結果(速報版)を発表した。
全体的な傾向としては、価格転嫁・価格交渉ともに、「コストが上昇していないため、価格転嫁は不要である」という回答の割合が約2倍に増加した。
価格交渉については、「発注企業からの交渉申し入れをきっかけに交渉が行われた」企業の割合が約2倍に増加。また、「コストが上昇し、交渉を希望したが、交渉が行われなかった」企業の割合は減少となり、「価格交渉しやすい雰囲気が徐々に醸成されつつある」としている。
価格交渉に応じた業種をみると、「トラック運送」は3月調査では26位だったが、9月調査では22位となった。
価格転嫁については、コスト全体の転嫁率は、前回調査と比較して微減し45.7%となったものの、「全く転嫁できなかった」または「コストが上昇したのに減額された」企業の割合は減少し、「価格転嫁の裾野は広がりつつある」とみている。
業種別では、トラック運送業のコスト増に対する転嫁率は、3月調査に比べ9月調査では4.7ポイント上昇しているものの最下位となった。また、価格交渉が⾏われた企業のうち、「交渉⾃体には応じたものの、転嫁に全く応じなかった」企業がトラック運送業では約3割みられた。
アンケート調査票を配布した企業数は30万社、回答企業数は3万5175社(※回答から抽出される発注側企業数は延べ4万2924社)。トラックGメンのヒアリング件数は約2000社。
今後の対策として、2024年1月に企業リスト(発注企業ごとの交渉・転嫁の評価)を公表し、評価が芳しくない発注企業の経営者トップへの事業所管⼤⾂名での指導・助⾔を行うとしている。