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物流の2024年問題/7割の企業が「マイナスの影響がある」と回答

2024年01月26日/調査・統計

帝国データバンク(TDB)は1月26日、2024年問題について各業種企業に調査し、その結果を発表した。

<2024年問題への影響>
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物流の2024年問題に限ってみると、「マイナスの影響がある」企業は68.6%となった。特に、『卸売』(79.6%)や『農・林・水産』(78.9%)など6業界で7割超の企業がマイナスの影響を見込んでいる。企業からは「物流コストが増加すれば、製品単価の上昇につながり、景気は後退する」(繊維・繊維製品・服飾品卸売、大阪府)や「現状も部材不足の納期遅延が多い。物流問題が生産計画に波及し、さらに悪化するかもしれない」(電気機械製造、群馬県)といった声があがっている。

<「2024年問題」全般に対する具体的な影響~上位10項目~>
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「2024年問題」全般に対して具体的な影響を尋ねたところ、「物流コストの増加」が66.4%と最も高かった(複数回答、以下同)。次いで、「人件費の増加」(41.0%)、「人手不足の悪化」(40.0%)が4割台、「配送スケジュールの見直し」(32.4%)が3割台で続いた。

業界別にみると、「物流コストの増加」は『製造』(80.4%)で 8 割を超え、『卸売』(79.2%)と『農・林・水産』(75.2%)が7割超で高かった。

また、「配送スケジュールの見直し」は『製造』(45.7%)や『卸売』( 45.6 % )、『小売』(36.4%)といった主に荷主側となる業界で高かった。

物流の2024年問題に対して、対応(予定含む)を行っているかどうかでは、「対応あり」とする企業は 62.7%だった。他方、「特に対応しない」企業は 26.4%と4社に1社となった。

さらに、「対応あり」とした企業に対して、具体的な対応策については、「運送費の値上げ(受け入れ)」が 43.3%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「スケジュールの見直し」(36.3%)や「運送事業者の確保」(24.9%)、「発着荷主と運送事業者双方での連携強化」(24.2%)、DX など「業務のシステム化や効率化の推進」(20.0%)が上位に並んだ。

<物流の2024年問題への具体的な対応策~上位10項目>
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業界別にみると、「運送費の値上げ(受け入れ)」は『運輸・倉庫』(51.5%)、『卸売』(50.2%)、『農・林・水産』(50.0%)で 5 割以上となった。企業からも「物流コストアップは交渉により抑制したいが、一定程度は受け入れる」(広告関連、東京都)といった声があがっていた。

また、「荷待ち・荷役時間の把握・削減」は、『運輸・倉庫』が 32.4%と最も高く、『製造』(12.2%)や『農・林・水産』(9.1%)が続くが、総じて荷主側企業からの対策意識が低い様子がうかがえた。企業からも「時間指定の縛りや、荷役作業に対する荷主側の意識改革がなされない限り、根本的な解決にならない」(紙類・文具・書籍卸売、東京都)といった厳しい声が聞かれた。

そのほか、物流の 2024年問題へ「特に対応しない」企業では、「これまで通りで問題が生じず、対応する必要がない」が 34.6%でトップとなり、「2024年4月以降、問題が生じた際に対応を検討する」(33.6%)が続いた(複数回答、以下同)。

「2024年問題」に対する支援策については、補助金や助成金など「金銭的支援」(34.0%)と「人材育成・確保支援」(32.3%)が3割台で上位となった(複数回答、以下同)。以下、「高速道路料金などの見直し」(29.3%)や「時間外労働の上限規制の猶予期間の延長」(26.6%)、「ルールなどの周知徹底」(21.5%)が2割台で続いた。

<企業からの主な声>
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まとめとして、幅広い業界に影響を及ぼすと予想される物流の問題に絞ると7割近くの企業でマイナスと捉えている。荷主事業者、運送事業者に関わらず幅広い業界でマイナス影響を見込んでいた。他方、一部企業では残業時間の短縮など働き方改革の進展でプラスとして捉えている。

さらに、物流の2024年問題に対しては、運送費の値上げや受け入れ、スケジュールの見直しなど具体的な対策の実施を予定している。一方で、問題が生じた際に対応を検討する企業も多く、2024年4月が直前に迫るなか、具体的な対策が見つからず、対応を決めかねている企業も一定数存在していた。

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