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日昇会/2024年問題、抜本的改革へ 現場の声届くか

2025年02月26日/3PL・物流企業

これからの物流を考える有志らで結成した日昇会は2月25日、都内の参議院議員会館で第4回勉強会を開催した。

<第4回勉強会の参加者>
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勉強会は、運送事業者や国会議員、国土交通省・経済産業省などの中央省庁の担当者が参加し、真の業界変革につながる民間アクションやそれを補助する政治・行政との連携について議論することを目的として、2023年8月より開催している。

4回目となる今回は約60名が参加し、「適正な競争環境の構築」「国交省を基軸とした業界全体のデジタル化」「荷主の意識改革」の3テーマについて議論を行った。

<開会の挨拶を行う 八大 岩田享也 社長>
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事務局を務める八大の岩田社長は、開会の言葉で「これまでのトラックGメンなどの規制により、不当な企業はかなり数を減らしてきた。しかし、今の厳しい法のもとでは、法令順守を優先する真面目な企業が割を食う状況になりつつある。そこでこれからは規制一辺倒ではなく、ボトルネックを外していくことが必要」と語った。

運送事業者は、八大(東京都)をはじめ、今回から参加するエイエスエムトランスポート(山形県)、宮崎運輸(宮崎県)など全国から18社が参加。業界の現状を話し合った。

適正な競争環境の構築について、業界の代表は「標準的運賃に対し法的効力を持たせることを望む。これは、多重下請け構造の改善にもつながってくる」、「トラック事業に許可更新制を導入したことで、白ナンバーのトラックが現れる事例があり、予期せぬアングラ業者を生み出す可能性も念頭に」、「50%の業者が適正運賃をもらっているとデータにあるが、アンケートに答えていない業者の実態に沿っていない」、「ここ数年、労働時間規制で距離がある運送は事実上不可能になっている。地方の農産物を都心に運ぶことに対する上限への模索を考えてほしい」など、実情をふまえた上での提言を行った。

国交省 物流・自動車局 貨物流通事業課 三輪田課長は「物流の下流で、条件の悪い仕事を低運賃で受ける業者がおり、業界がゆがむ。こうした業者をいかに市場から退出させるかが重要。労働時間に関しても、労災で命をなくした方がいることをふまえ、議論が必要。中継拠点の増設や休憩施設の整備など、必要な支援は検討していきたい」と述べた。

<DX化について現場の実情を語る気仙沼緑化サービス 小野寺敦志 社長>
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また、デジタル化について業界からは「DX化が進んでいるが会社ごとに温度差があり、どう変えていけばいいか分からない業者がほとんど」、「物流会社がデジタル化しても、荷主が後から別のシステムを採用した場合、そちらに合わせる必要があり二度手間になる」、「農産物、食品など運ぶものによっても運び方などが異なる場合があるので、業界で一概にデジタル化を推進するのは難しい」、「どこまでやったらDX化のゴールなのか、果てが見えない」といった声が上がった。

<荷主への理解について回答する 経済産業省商務・サービスグループ 物流企画室 平林孝之 室長>
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荷主への理解については、「納品先での作業、今までお金もらわなかったところをもらうようになった。今後は着荷主、店も含めて一歩踏み込まないと届かないと実感している」といった改善が見られた旨のコメントがあった一方で、「着荷主の理解が進まず物流現場はいつも綱渡り。特に繁忙期は、残った社員がカバーして目も当てられない状態」、「毎日ものが届くのが当然ではない。3日に1回の発注ロットにするなど、商習慣の改善が必要」、「経営者団体の冊子に出すなどしているが所詮一つの広告でしかない」など、特に着荷主への理解が進まない現状を伝える提言があった。

また「行政の力を借りて荷主にどう実行力を働かせるのかが重要だと感じている」「大半の企業は物流費はコストでしかないから話が右から左へ、では困る。経産省、厚労省など含め、荷主企業に意識させていければなと思う次第」と、行政に対する厳しい意見も見られた。

経済産業省 平林孝之 室長は、「荷主側の理解を深めることが重要だが、CLOの設置などは荷主にとっても新たなチャレンジ。意識してこなかったことへ取り組んでいくので前例がなく、荷主側も迷っている実情がある。事例集を取りまとめて、公表していくのが有益な取り組みだと思う中で、有効な方法を共有していければ」と述べた。

<阿達雅志 参議院議員>
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会の終盤で、阿達雅志 参議院議員は「改正物流二法を昨年4月に制定したとき、施行までをガイドラインで対応することで、着荷主に対して(物流事業者が)強く言えるようになる、と議論がされていた。しかし実態はそれが徹底されていない。ほかにも、実運送体制の管理簿を国交省が本気を出せばデータとしてとれるはず。統計が出ていないからこそ、実態としてこうした生の声が出ている。2024年を過ぎて、議論が落ち着いてしまっているのも危機感。問題はこれからも続く。またDX化についても、標準化に反対するITベンダーが存在する。これについては公取委にも報告してもらいたい。DX化の推進は国としても全力で取り組むべき事業」と、今回の内容を総括した。

日昇会/運送事業者・行政・議員ら有志が物流DX化へ勉強会

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