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JILS物流改善大会2025/「現場力」強化へ過去最多の42事例発表

2025年05月13日/3PL・物流企業

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日本ロジスティクスシステム協会(JILS)・日本物流資格士会が主催する「全日本物流改善事例大会2025」が5月13、14日の2日間、御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンターで開催されている。

大会は物流を支える「現場力」強化を目的に今年で39回目。2024年問題や物効法改正など物流業界変革の流れを反映し、昨年に比べ応募数は倍増となった。その中から過去最多の42の優秀事例を発表し、両日合計で375名が参加する。

<会場の様子>
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JILSの青柳幸一マネージャーは「4月の法改正で荷待ち・荷役時間等の削減が努力義務化されることもあり、課題として取り組む企業やDX化の事例発表が多い印象。応募数が増え選考が難しかった」と話す。また新たなトピックスとして、今回は初めての学生枠として東京理科大学の学生による研究発表もある(14日B会場)。ロボット導入後のピッカーの身体的・精神的負荷にスポットを当てた。

応募事例は、物流センター等での現場改善を対象とした「物流業務部門」と、運営・管理部門での改善を対象とした「物流管理部門」の2部門で募集。昨年から会場をA.Bの2つに分けてパラレル形式で実施している。

初日の13日には鴻池運輸、SBS東芝ロジスティクス、アサヒロジ、ロジスティード、花王、などが登壇し22事例を発表した。このうち「見える化」をテーマに物流改善に取り組んだ2つの事例を紹介する。

<ロジスティード>
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ロジスティードは、輸送事業者にとって最大のテーマである事故防止について改善に取り組んだ。題して「IoT×AIテクノロジーでドライバーの体調と運行を見える化し、ヒヤリハットを削減」。

2024年問題など直面する課題は多いが、近年ではドライバーの健康起因事故が急増している。同社でも実際に複数の事故が同一事業所内で発生しており、産官学連携でドライバーの体調とヒヤリハットの相関関係について研究、安全運行管理ソリューション「SSCV―Safety」の開発に至った。

同ソリューションの特徴は、ドライバーの体温・血中酸素濃度・血圧・自律神経からドライバーの体調を見える化すること。運転中もリアルタイムでドライバーの体調や危険運転を検知し、音声アナウンスで声かけを行う。また運転中のドライバーの危険運転を自動的に切り出し、注意を促すこともできる(一時停止、わき見など)。同社では現在全社に導入し、重大事故につながるヒヤリハットを98%削減。事故件数も71%減少し、燃費や保険料の低減も実現している。健康と安全を同時に見守れるソリューションとして協力会社や他の運輸事業者など80社以上に提供し、DXソリューション開発本部サプライチェーンイノベーション部の篠原雄飛 部長補佐は、「改善ノウハウを他社にも提供しており、こうした取り組みにより業界全体に貢献できれば」と展望を語った。

<花王・花王ロジスティクス>
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花王と花王ロジスティクスは、「見える化でトラック待機時間削減に挑戦~運送会社に輪選ばれる荷主を目指して~」と題し発表した。同社は「ホワイト物流推進運動」に賛同し、待機時間削減のための大型物流センターにトラック予約システムを導入したが、改善活動が不十分だったため、運送会社から指摘を受けることがあった。そこで、実態の把握、実績データをもとに課題を見える化し、荷待ち時間削減を行った。

花王では、2024年度新たに13拠点で予約システムを導入しており、そのなかで最も改善効果のあった花王ロジスティクス坂出ロジスティクスセンター(LC)の田中和也所長が取組みを説明した。同センターでは2023年11月時点で月に1時間超の荷待ち車両が約3割を占めており、2時間超も20台発生していた。

予約システムの導入にあたり、「自由予約」(倉庫運営会社が設定した時間枠の中から運送事業者が空いている枠を選択する)、「都度調整」(予約のたびにメールや電話で確認)、「運送事業者毎の予約枠」の3つのパターンに分類。坂出LCでは3つ目を採用し、運送会社ごとに最適な時間帯で予約枠を設定した。さらに現場の記録をデータ化し、待機時間発生の分析、改善に取り組み2025年3月時点で、1時間超の待機車両ゼロを達成した。花王では、同様の取り組みを全国の物流拠点へ展開し、待機時間が1時間以内である比率99.3%を実現している。

14日には、さらに20の発表が行われ、優秀事例の中から「最優秀物流改善賞」と「優秀物流改善賞」を決定し、6月開催のJILS定時総会の席上で表彰式が行われる。

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