ラピュタロボティクスは7月17日、ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」に、重量検品機能を搭載した新モデルのデモンストレーションを、東京都の木場支社で行った。
重量検品機能モデルは、現状のラピュタPA-AMR(標準モデル)の上下段トレイに、重量計測器であるロードセルを4台搭載し、1台で最大4つのトレイを個別に計量できる。
ピッキング商品をスキャンしてオリコン等のトレイに入ると、ロードセルが約1秒で重さを検知し、入れ間違いが発生した場合、ラピュタPA-AMRのモニター上でアラートが鳴る仕組み。重さを検知している間はアラームは消えず、間違えた商品を取り除くと作業が継続できる。
<デモンストレーションの様子(重量により誤出荷を検知)>
従来のPA-AMRでは作業者が商品数を確認後、投入する必要があったが、重量検品モデルはロボット自身が数量をカウントし、棚前作業の短縮につながる。
最小計量値は10gで、最大20㎏(オリコン込み)まで対応可能。従来の重量検品カートと比べてコンパクト(W612×D612㎜)な設計で、最小通路幅1.1mから導入できる。
既にラピュタPA-AMRを導入している場合、後付けでアップグレードすることも可能。料金はサブスク利用で標準モデル月額12万円+オプション機能として3万円/1台で提供する。
デモンストレーションでは、復数台のPA-AMRを使ったグループピッキングのオペレーションも披露した。作業者は1つのピッキング完了後、ロボットの後をついて歩くのではなく、ロボットの指示により近くのロボットに移動し、歩行距離を短縮しながらピッキングに集中できる。
<グループピッキングのデモンストレーション>
歩行と負荷削減によるピッキングの生産性向上に加え、重量検品モデルでは検品を1アクションで行えることで、庫内作業全体をさらに効率化することができる。
重量検品モデルの主要ターゲットは、消費者が日常生活で頻繁に購入・消費する日用雑貨や化粧品、医薬品、食品、飲料、ペット用品など、FMCG(Fast Moving Consumer Goods)と呼ばれる商品。
須藤圭祐Product Marketing Managerは「スーパーやコンビニドラッグストアなど競争が激化しているFMCG市場は、自動化と効率化にスピードが求められている。既に重量検品カート等で検品工程を効率化している現場も多いが、今後、人手不足が加速するなか、出荷先のニーズや波動に対応するため重量検品改善への強いニーズはある」とみている。
想定するケースは、日用品や市販薬の店舗向け倉庫など。ピッキング時の一次検品で梱包前の二次検品にかかる時間を短縮し、ピッキングから出荷までのスピードアップと誤出荷の削減を行えるという。
花王が、関東の物流拠点に65台の導入を明らかにした。
花王では、小売店への直接配送などの取組を進めているが、労働力不足や将来的な物量増加への対応として、既存物流拠点における更なる生産性向上が課題となっていた。
ラピュタPA-AMRは現場を止めずに導入可能であること、ロボット群制御技術により人と共創し高効率なピッキングを実現すること、さらに重量検品機能の搭載により庫内作業全体の生産性向上につながる点などが評価され、1拠点としては最多となる導入が決まったという。
今後もラピュタロボティクスは花王と連携し、物流のさまざまな課題解決に向けて取り組んでいくとしている。
ラピュタ/国内初の方式導入 アクタスの物流拠点でWMSとAMR連携