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JILS/2024年度の物流システム機器総売上高6570億円超で過去最高水準

2025年09月12日/調査・統計

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は9月4日、「2024年度物流システム機器生産出荷統計」の調査結果を発表。2024年度の物流システム機器の総売上高は6570億円を超えて2023年度比3.8%増加となり、過去最高水準となった。

<総売上金額の推移>
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調査は、物流システム機器の生産出荷状況を定量的かつ継続的に把握することを目的実施しているもので、国内主要物流システム機器メーカを対象に2024年4月~2025年3月の実績を集計した。

集計の結果、2024年度の物流システム機器の総売上高は、2023年度の6330億3100万円から6570億200万円に3.8%増加し、売上件数も11万8357件から13万3532件に増加した。

総売上高が過去最高水準となったことについて調査報告書では、「引き続き高水準を示す多くの機器の需要に呼応して、メーカー各社により生産、供給がなされた結果と思われる。また売上金額の増加とともに、前年度に引き続き売上件数が増加していることからも、多くの機器において需要が増加傾向にあることが推察される」としている。

機種ごとの動向をみると、自動倉庫は1320億円から1470億9800万円へと増加(前年同期比11.4%増)。機種別では、バケット用自動倉庫(ユニット式)が863億8200万円から791億400万円(8.4%減)となり、クリーンルーム向けについては382億600万円から384億9300万円(0.8%増)の結果となった。

台車系は、1659億3700万円から1820億3900万円(9.7%増)、基数も1万1499台から1万2818台(11.5%増)となった。機種別では、天井走行台車が1468億6900万円から1544億6300万円(5.4%増)、有軌道台車システムも57億500万円から95億1500万円(66.8%増)、無軌道台車システムも133億6300万円から180億6100万円(35.2%増)だった。

コンベヤ系は1467億6300万円から1447億4600万円(1.4%減)。機種別では、ケース搬送用コンベヤが873億4000万円から732億500万円(16.2%減)、ハンガー式コンベヤは131億1100万円から94億800万円(28.3%減)、パレット搬送用コンベヤについては463億1300万円から621億3400万円(34.2%増)となった。

仕分け・ピッキング系は297億1300万円から271億6100万円(8.6%減)。全体の過半を仕分機が占めている中、仕分機の売上高は198億2000万円から157億6100万円(20.4%減)、一方基数は2764台から2782台(0.6%増)。またデジタルピッキング表示器の売上高が89億8200万円から106億1200万円(18.1%増)だった。

回転棚・移動棚は192億1700万円から202億200万円(5.1%増)。機種別では、売上高の大半(83.3%)を移動棚が占めている。移動棚の売上高は電動式が132億9300万円から128億4200万円(3.4%減)、手動式は31億8200万円から39億8200万円(25.1%増)。さらに、回転棚(垂直式)は9億3700万円から9億4000万円(0.3%増)、回転棚(水平式)についても18億500万円から24億4100万円(35.2%増)となった。

棚は、重量棚、中軽量棚、流動棚の3機種からなっており、売上高は326億7700万円から333億700万円(1.9%増)。内訳は、重量棚が109億1900万円から117億7300万円(7.8%増)、中軽量棚は215億5900万円から210億2300万円(2.4%減)、流動棚は1億9900万円から5億1100万円(256.8%増)と急増した。

パレタイザ/デパレタイザの売上高は、85億3400万円から81億4700万円(4.5%減)、基数は980台から788台(19.6%減)だった。

垂直搬送機は171億1800万円から137億2500万円(19.8%減)。機種別では、パレット搬送用垂直搬送機が145億7000万円から105億3500万円(27.7%減)、ケース・ピース搬送用垂直搬送機は25億4800万円から31億9000万円(25.2%増)となった。

コンピュータ全体の売上高は、455億8100万円から540億8300万円(18.7%増)。コンピュータは、物流システム機器の情報処理や在庫管理を行う制御系の機能を含むコンピュータソフト・ハードと、WMS(倉庫管理システム)からなり、このうちWMSについては、統計が主として物流システム機器のメーカー(エンジニアリング会社を含む)を調査対象としており、カバレッジが充分でない。特に、大手情報システムベンダーでは、WMSの機能を含む物流情報システムを個別に開発しているケースが多いと思われるが、調査ではカバーできていない。

機種別では、コンピュータ(ハード)が100億1300万円から166億4600万円(66.2%増)、コンピュータ(ソフト)は328億2100万円から329億1900万円(0.2%増)だった。なお、コンピュータは物流システム機器の制御などに利用されるものが多く、他の機種の出荷傾向に影響を受ける。

海外向け売上高は、1832億900万円から2285億8200万円(26.0%増)となった。海外向けは従来クリーンルーム向けの割合が高く、その影響を強く受ける傾向がある。

クリーンルーム向けの海外売上高は1597億7500万円から1901億7500万円(19.0%増)となっており、クリーンルーム以外の売上高は、234億3400万円から406億6300万円(73.5%増)となる結果となった。

海外向け売上高では、台車系が全体の62.6%、自動倉庫が18.2%、コンベヤ系が7.1%を占め、この3機種で8割以上(87.9%)を占める。

この3機種のうち、台車系は1168億600万円から1429億9500万円(22.4%増)、自動倉庫は306億6400万円から415億8000万円(35.6%増)、コンベヤ系は137億4900万円から162億3400万円(18.0%増)となった。

<海外向け売上高の推移>
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報告書では2024年度の総売上高が2023年度に引き続き6000億円を超えたことについて、「世界的な原材料・製品の価格高騰等、外部環境の変化はロジスティクス・物流分野にも引き続き大きな影響をおよぼしている。本年度調査において、総売上金額が3年連続で増加していることが確認されており、これはいわゆる『物流の2024年問題』に象徴される労働力不足への対応として、物流の自動化・省力化に対する需要が依然として底堅く推移していることを示唆するものである」とまとめている。

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