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物流最前線/サトーホールディングス、トップインタビュー

2018年01月16日/物流最前線

現場にすべてのヒントと答えがある

―― メーカーから脱却してソリューション企業を目ざすと。
松山 モノ作りだけでやっていくためには、世界でひとつしかない製品を作る、つまりオンリーワンでないとなかなか困難です。しかし、たとえそれが難しくとも、自前主義にこだわらず、自社製品や他社の技術を含めてサトーにしかできないソリューションにすればオンリーワンになれます。この方向性は先に話したプラス1の付加価値を提供する考え方への転換が大きかったですね。ここから社員の意識が変化しました。

―― 戦略的に意識改革を進めたのですか。
松山 いえいえ、これらはすべて現場の経験や声から導かれたものです。顧客の本質的な問題・課題は何かを考えていく内に必然的に結び付いたものです。考え、顧客と話しているうちに、新しいアイデアや協業・提携のプランが入ってきたのです。現場の声は企業にとっては宝です。現場に全てのヒントや答えがあるのです。

―― 現場の声はどの様に集約し活かしていますか。
松山 サトーには41年続く三行提報というものがあります。社員全員が毎日、約127文字、3行程度で、経営トップに直接、提案と報告をする制度です。社長の日課は毎朝これを読む事です。朝の6時くらいから出社して8時まで読んで、それぞれにコメントを付けて返します。社員から上がってくるものは、毎日2000通以上になるので、秘書室で30~40通に絞ってきます。内容は必ずしも完成されていないアイデアレベルのものも多いのですが、それでいいのです。

―― 実名ですか。
松山 もちろんです。写真もついています。社員による検索もでき、その場合は書き手は公開されませんが、全ての情報の内容を読むことができます。ただ、上司や部下に都合が悪い様なものは、その三行提報自体を非公開にすることが可能です。臭い物に蓋をしないといったガバナンス目的もあります。会社に良いアクションの波紋を起こすような意見もおおいに歓迎です。ある意味、全社員が会社の経営に参加していることですから、これがサトーの強みになっていると思いますね。

―― 社長の2018年に向けての抱負を。
松山 2017~2021年度の中期経営計画(中計)を立てておりますが、この期間に世界は大きな変革期を迎えると思います。サトーは中計において、変わりゆく社会から必要とされ続ける企業、最も信頼される企業を目指しています。そのコア(核)が自動認識ソリューションですが、自分達の商品に悪い意味でこだわるのではなく、社会の役に立つ会社を目指して、さまざまな取り組みを仕掛けていきたい。2017年は計画のスタートの年でしたから、2018年は足固めの年にしたい。コラボレーション、協業も一層盛んに進めていきます。

―― 社長というハードな業務ですが、健康法とか趣味は。
松山 仕事を考えずに没頭出来るものとして、実はジャンルを問わず料理を作ることが趣味です。料理中は料理に集中していますので、ストレス発散には最適です。イタリア料理系が一番多いのですが、煮込み料理のような時間をかける料理が好きですね。時間があれば、食材調達に1日かけ、調理にも1日かけます。カレー料理なんかは、スパイス調達からはじめます。シンガポール赴任中は現地の社員にも振る舞いましたが、日本ではまだですので、いずれ。

<三行提報の一部>
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<松山社長>
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■プロフィール
松山一雄(まつやま かずお)
サトーホールディングス 代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)

1960年東京都生まれ。青山学院大学文学部英米文学科卒。1983年鹿島建設入社。1987年サトー(現サトーホールディングス)に入社し、マレーシア工場の立上げに携わる。その後サトーを退社し留学のため渡米。1993年ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修士課程修了(MBA)。P&G、チバビジョン(現日本アルコン)でマーケティングに従事し、2001年サトーに再入社。シンガポールを拠点に国際営業本部長として海外事業を統括。2009年取締役専務執行役員、2010年代表取締役執行役員副社長を経て、2011年10月日本に戻り現職。

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