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物流最前線/サトーホールディングス、トップインタビュー

2018年01月16日/物流最前線

―― この提携・協業の意味するところは。
松山 各社との提携・協業は全て顧客へ寄り添い、新たなソリューションを提供するためです。サトーは1940 年創業、60~70年のハンドラベラー時代を経て、1981年熱転写方式のバーコードプリンタを世界で初めて開発して以降、プリンタやラベルを主力商品とするメーカーでした。ところが、世の中がIoT、AI化、ロボット化の時代を迎え、ビッグデータの活用で、全体最適を目ざす動きが活発になり、世の中がまさに次のステップに向かっています。例えばプリンタの性能を上げるのは、メーカーとして当然ですから、高品質のプリンタをモノづくりにこだわって開発しました。しかし、どんなに良いプリンタでも、サプライチェーン全体からみると単なる部分最適に過ぎません。顧客からすれば部分的に満足しても、全体最適からはほど遠いわけです。単に、印字速度が速い、印字が綺麗、低コストだというだけでは、顧客の要望に応えられない。そこで、少しでも顧客の事を考えるなら、各社との提携・協業によるプラス1(ワン)の付加価値が必要になります。

―― プリンタでのプラス1(ワン)の付加価値とは。
松山 一番大切なことは、現場の業務を止めないことです。バーコードプリンタにはヘッドやカッターなど消耗部品があり、一定以上使用すると、交換が必要です。また、ラベルプリンタは中々壊れませんが、機械ですから、万が一故障することもあります。そこでSOS(サトーオンラインサービス)という、IoTを活用しプリンタ1台1台をクラウドから遠隔で見守るシステムを開発しました。これは究極的な予防保守になります。

―― 消耗品が切れたり、プリンタが壊れる前に対応すると。
松山 そうです。消耗部品の交換時期やちょっとした異常を感知して早めの処置を取ることができる。現場を止めることを防ぐわけです。SOSの開始は今から3年前になりますが、これが、発想の転換点でした。顧客に単にプリンタだけを買ってもらったわけではなく、プリンティングサービスそのものを買ってもらったのだということです。これがプラス1の付加価値の発想です。

―― この発想の原点は。
松山 私が海外赴任していたころ、広大な市場の中で、いったん機械が壊れるとその場所に赴き、修理する、やはり復旧には時間が必要で、その間は作業が止まる現場を見てきました。競合他社に比べて人を送るスピードは速かったのですが、それでも現場は止まります。そこで、社内でもアイデアを出してもらいました。メンテナンスフリーのモデル開発のアイデアもありました。そんなとき、一部地域限定ですが、アマゾンが電子書籍端末にMayday(メーデー)というボタンを付けていました。これは、操作が分からなくなったり、動かなくなった時に押すと、すぐにオペレーターに繋がり、24時間対応するものでした。この話を聞いたときにパッとモヤが晴れ、いろいろなことが繋がりました。

―― それがSOS開発に繋がったと。
松山 そうです。これがラベルプリンタの世界で実現できたら、大きなゲームチェンジャーになれると。そこで、セールスフォース・ドットコムとパートナーシップを組んで、彼らのクラウドを使いながら、プリンタの基盤の中にIoTを組み込み、オペレーション体制を構築したわけです。CE(カスタマーエンジニア)も、従来の壊れたら修理に行く活動から、壊れる前の予防保守を実現したことで、より顧客の運用に寄添い、新たな提案やアドバイスをする活動へシフトすることで本当の意味でのCEになろうとしています。

―― 現在の顧客の評価は。
松山 おかげさまで多くの方に喜んでいただいています。日本以外のアジアでは2017年から開始していますが、特に海外では営業所と顧客の距離が遠い場合が多いので、非常に高い評価をいただいています。IoTの進展のおかげで、無線LANからSIMまでさまざまな手段でつなげられる時代になってきました。

<SOSの仕組み>
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