日本の先進的物流施設開発を牽引する1社であるラサール不動産投資顧問。その投資戦略は、綿密な情報収集と高度な市場分析に基づいている。
徹底して物流・荷主企業の事業と向き合う姿勢が支持されており、まもなく完成する延床面積30万m2の物流施設では竣工時点での満床が視界に入ってきた。
好調な物流施設開発事業を先頭に立って主導する永井まり執行役員と、社長就任から1年が経過したキース藤井社長に事業方針や日本市場への見解、足元の事業状況、そして今後の目標などについて語ってもらった。
3か月で1250億円の投資準備を完了
―― 3月でラサール不動産投資顧問の社長就任から1年が過ぎました。
藤井 振り返ってみると、非常に経験も知見もあるプロフェッショナル集団と共に働く良い機会だったと思います。ラサールが物流施設開発のマーケットで優位性を保って競争できるようなチームを持っていることを実感できました。特に今年の年明けからの3か月間はとても濃密な期間で、1250億円規模の投資について仕込みを終えることができました。
―― この3か月で1250億円ですか。
藤井 そうですね。日本のマーケットでこの規模の投資にコミットするというのは、本当に自信がないと出来ないことだと思っています。その自信を持てるための基盤となったのは、中嶋前社長(現代表取締役)と永井執行役員がこれまでに作り上げたラサールのプラットフォームです。資金調達や開発、リーシングなどを含め、このプラットフォームが上手く機能していたからこそ、1250億円もの投資にコミット出来たと考えています。
―― ところで、藤井社長はラサールへ入社する以前、バンク・オブ・アメリカなどで不動産投資事業を成功させてきた実績をお持ちですが、その頃から物流施設への投資は経験されていたのですか。
藤井 これまで、私自身は商業施設やオフィスなどのコアアセットの投資に携わってきました。物流施設も世界的に見ればコアアセットの一部ですが、ラサールに入るまでそれほど携わっていませんでした。ラサールでは、基本的に永井執行役員と一緒に取り組んでいます。
―― ラサールの中で物流施設をどう位置づけていますか。
藤井 最も重要なアセットの一つですね。オフィスや商業施設といったアセットクラスではコンバージョン(用途変更)やリノベーションすることを前提に投資をするのですが、今のマーケットの状況でラサールが一から新規開発するものというのは物流施設しかありません。それだけラサールは物流施設開発に自信を持っていますし、将来性を信じていて、これからも注力し続ける分野だと考えています。
―― その物流施設開発でラサールが強みとする部分は。
藤井 プラットフォームによって、物流施設開発のどのフェーズからでも、付加価値をつけて投資することができる点ですね。例えば、更地の土地を買った時点からのスタートや、リーシングが出来ていない空室の施設を取得したり、開発途中の段階から入ったりと、どの段階のサイクルからでも付加価値をつけられるような能力とチームが揃っています。このスキルセットを活用して投資機会を発掘することができる強みが、実際に1250億円という投資の数字に表れていると思います。また、これからマーケットが変動しても、ラサールはプラットフォームで競争優位性があると考えています。その象徴的なものとしてJリートのラサールロジポート投資法人があり、私たちの強みだと思っています。
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