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物流最前線/ラサール不動産投資顧問 キース藤井社長(インタビュー)

2019年04月24日/物流最前線

テナントニーズに沿った開発戦略

<永井まり執行役員>
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―― ラサールの物流施設開発の基本方針について聞かせてください。

永井 ラサールロジポート投資法人のAUM(受託資産残高)を増やしていくことが私たちの大きな目標の一つです。投資法人では、物流施設の中でも東京・大阪圏の消費地や高速道路などに近い、延床面積5000坪以上の高機能な物流施設へ重点的に投資する方針を掲げており、この方針に合うような物件を選んで投資していく形になります。また、リサーチ&ストラテジーの部門が色々な情報を集めており、彼らと密に情報交換をしています。投資家の資金の流れや、マーケットのほかの流動資産の動向などを視野に、向こう何年間の見立て、過去のヒストリカルレコードなどを踏まえて、その土地の立地や市場状況、ニーズの有無を判断しています。

―― 注力する東京・大阪圏にはどの程度の割合で投資しているのですか。

永井 東京・大阪圏はポートフォリオベースで80%程です。残りの20%がそれ以外のエリアになります。土地が出てくるエリアも、テナント企業が求めているエリアも、大体はこの80%に合致するので、そこを中心に投資していきます。それと、土地の選定は物流・荷主企業へのヒアリング調査結果に基づいて行っています。テナント企業と情報交換していく中で、3年先や5年先の計画、どういった形でビジネスを展開していくのかを把握し、彼らのニーズを汲み取り、それに合うか合わないかによって出た土地を強気に買いに行くのか、控えるべきかを選別しています。

―― テナント企業が求める土地の条件とは。

永井 それは物流・荷主企業の荷物の種類によって異なりますね。例えばECなら賃料が高くても駅の近くや人を集めやすい場所を選びますし、一方で、ストック型や広域配送だったりBCPを重要視するような物流・荷主企業は、地盤の良い国道16号や圏央道周辺などに拠点を設ける傾向にあります。目的や用途によって立地の傾向が異なるため、ラサールロジポート投資法人が定める規模やエリアであっても、テナントニーズに合致しなければ空室のリスクがありますので、テナントニーズや戦略に沿って開発を進めることが重要になります。

―― テナント企業とはどのような話がポイントになりますか。

永井 荷主企業の場合ならどういった拠点展開や店舗展開をしていて、どんな配送をするのか、相手が3PLの場合は彼らがどういった場所に物流施設を探しているかを話しています。テナント企業の需要にも結びつきますからね。荷主企業には大小ありますが、大きな坪で借りる荷主企業には1棟貸しや1フロア貸しといった内容の提案を直接します。一方で、1000坪規模の小さい単位で借りる荷主企業は3PL企業の物流施設を使用する場合が多いので、そういった場合は3PLの声を聞いてどのあたりの土地にニーズがあるかを考えます。今ですと、環状線の外環道、国道16号、圏央道と、そこから放射状に伸びる高速道路の周辺であれば、ほぼ確実にテナントニーズがあると思います。

―― テナント企業で多い業種、増えている業種は。

永井 やはりECが多いですね。EC専業というよりは、食品や一般医薬品、日用品などを扱う小売業がECのチャネルを使って販路を拡大するケースが多いです。しばらくはこの流れは続くと思いますね。

―― EC向けの物流施設ではどういった場所にニーズがあるのですか。

永井 ECでも動きは2種類あります。当日・翌日配送をされる方は、消費地から近距離でいかに早く届けるかを念頭に拠点を設置しますし、多少配送に時間がかかっても良い商品についてはもう少し郊外に拠点を設けますので、扱う商品や配送頻度などによって拠点の選別の仕方は変わってくると思います。これは、ほかの物流業者さんでも同じですね。

<ロジポート川崎ベイ完成予想図>
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<新守谷物流センター完成予想図>
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