LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





「顧客×企業」「企業×企業」をつなげる
TRCが目指した新しい物流テックショールーム

2020年10月29日/物流最前線

物流テック企業間の連携を促す付帯機能

<セミナー&コワーキングスペース>
20201029trc14 520x346 - 物流最前線/TRCが目指した新しい物流テックショールーム

<実験用タイムシェア倉庫>
20201029trc15 520x346 - 物流最前線/TRCが目指した新しい物流テックショールーム

展示スペースのほかにも「TRC LODGE」では、物流テックの出展企業に対して「セミナー&コワーキングスペース」と「実験用タイムシェア倉庫」を提供している。

「セミナー&コワーキングスペース」は、展示スペースに隣接する形で設けてある。出展企業がオフィスとして常時無料で利用できるほか、貸切にしてセミナールームとして利用することも可能だ。複数の企業が同時に利用することで出展企業間のコミュニケーションを促し、企業間連携による新たなソリューションの創出を図る狙いもある。物流関連の書籍も取り揃えており、物流に対する知見を深めることにも役立ててもらえるようにした。

「実験用タイムシェア倉庫」は、東京流通センター構内にある物流施設「物流B棟」の5階に設けた。広さは、倉庫スペースと接車バースで計1400m2程度。物流テックの実証実験や顧客へのデモンストレーションの場として1時間単位から利用できる。

実際の倉庫が物流テックの実験場に用いられることはあるが、倉庫の空室状況によって使用できなかったり、倉庫が郊外に立地しているため移動に時間がかかる場合が多い。その点で、TRC LODGEのタイムシェア倉庫は常設のため使用するタイミングの制限が無く、都心からアクセスしやすいため、高い施設需要が見込まれる。

物流業界全体の課題解決目指す

東京流通センターは、日本における流通機能の高度化を推進するため1967年に設立。以後、50年以上にわたり平和島で物流施設やオフィスビル、展示場の運営を手がけてきた。

「TRC LODGE」の開設は、東京流通センターが創業時から担う「公共に資する」という役割に基づいたもので、グループ内外に広く開放し、物流テックの導入による業務の効率化とともに、テック企業間の交流による新たな価値の創造を支援することで、中長期的な視点での物流業界全体の課題解決を目指す。

<展示ゾーンには1日数組程度がコンスタントに来場している>
20201029trc16 520x346 - 物流最前線/TRCが目指した新しい物流テックショールーム

「自社のテナントだけでなく、さまざまな方が利用し物流テックを『知って』『学んで』『試して』もらうことで、物流業界全体の効率化に繋がって欲しい」と羽野係長。取材に訪れた10月13日、開設からわずか10日余りだが、すでに興味を持った物流関係者が1日に数組程度コンスタントに来場しており、中には物流関係以外の来場者も訪れていたという。

今後、「TRC LODGE」では「物流テック展示ゾーン」で現状の展示品とは別の課題解決に効果のある製品や、同じ分野でも性質が異なる製品などを中心に展示を拡大する予定。また、「実験用タイムシェア倉庫」では什器等を設置し、実際の物流現場に近い環境で実証実験やデモンストレーションを行えるようにするなど、利用者の意見を踏まえた機能の拡充を進めていく方針だ。

<建て替えを計画している物流A棟>
20201029trc17 520x346 - 物流最前線/TRCが目指した新しい物流テックショールーム

また、東京物流センターでは4棟ある物流施設のうちA棟(延床面積17万m2)の建て替えを計画しており、2021年5月末の閉館後に解体工事を始め、2023年夏の完成を目指して施設を建替える予定となっている。

「昨今、物流施設で競合する事業者が増えており、今後のテナント誘致に向けては何らかの差別化が必要です。すでにハード面の差別化は限界に達していて、今後はソフト面の差別化が必須だと考えています。来年の後半あたりからA棟のリーシングも始まるので、TRC LODGEの存在を営業活動に役立てていきたいです」と宮本係長。

東京流通センターでは、高速道路や大井ふ頭、羽田空港と陸・海・空の交通インフラに近接する立地優位性から、2017年に建替えたB棟も満床稼働が続いている。新たな強みとして「TRC LODGE」が加わり、リニューアル後のA棟も早期の満床が期待できそうだ。

<前へ 1 2 3

関連記事

JobSiteに関する最新ニュース

最新ニュース