アマゾンジャパンは3月8日の国際女性デーの日、女性だけによる配送拠点「船橋デリバリーステーション(DS)」の運営を試みた。アマゾンでは、これまでも国際女性デーの日に様々な取組を行ってきたが、配送拠点の運営を女性だけで行うことは日本では初めての試み。従業員で話し合う中で、アイデアが生まれたという。当日は、男性従業員は出社せず、船橋デリバリーステーションは全員女性約50人の陣容。各自緊張感をもってスタートしたが「拍子抜けするくらい」と話すほど順調に業務は流れたという。取組活動の中心となった中野雅月オペレーションマネージャーと佐藤友梨エリアマネージャーに開催への経緯と取組の意義、そして感想を聞いてみた。
取材:3月8日 於:アマゾン船橋デリバリーステーション
スムーズに展開、まさに拍子抜け
―― 国際女性デーに合わせ、デリバリーステーションのオペレーションを女性だけで回すということですが、まず、どういう経緯でこのアイデアが生まれたのでしょうか。
佐藤 元々は私の上司から3月8日が国際女性デーというのを聞きまして、その日に私たちで何かできないかと考えるきっかけをいただきました。女性陣だけで何かできるのではないかと考えた時、アマゾンジャパンでは、まだ女性だけでオペレーションを回したことがないと聞いたので、じゃあそこにチャレンジしてみようとなったのです。
―― 従業員のみなさんの反応は。
佐藤 この船橋デリバリーステーションは女性が非常に多く、男女の比率にそれほど違いがないんですね。雰囲気も良く、コミュニケーションも活発なこの船橋だからこそできる挑戦じゃないかと盛り上がり、スムーズにイベント企画が進行しました。決めた後は一切反対もなく、心配の声すらなかったですね。
―― 男性陣の反応は。
中野 「いいじゃん」とか「やれっやれっ」と温かい応援の声がほとんどでした。実際に励ましのメッセージを寄せ書きしてくれまして、それを休憩室の壁に貼っています。従来から男性陣とのコミュニケーションも取れていましたので、とてもやりやすかったですね。
佐藤 本当に純粋な気持ちで「頑張って」と言われて、うれしかったです。
―― 女性だけでオペレーションを回すという意義については。
中野 今回のテーマが「Delivering Smiles by Women」ということで、女性にもできるということを証明し伝えていきたいと思っています。物流業界というと、どうしても男性社会のイメージがある業界で、女性には難しいんじゃないかと思われがちです。女性だけで実際にオペレーションを回し、支障なく業務を遂行する。これを実現することで、女性の無限の可能性を多くの人に発信していきたいなと、思っています。
―― 実際に今日1日稼働するわけですが、半日経過した時点での感想は。
中野 まさに拍子抜けするとはこのことです。やはり、スタート時には緊張していたのですが、通常通り実にスムーズに回っています。もちろんちょっとしたイレギュラーはありましたが、それでもちゃんと冷静に対応ができました。それこそ女性だけでも全く問題なくオペレーションを回せるという証明にもなり、今日の結果をとても楽しみにしています。
佐藤 中野さんと同様に、男性がいる日と同じような流れで進んでいて、何も心配がないなと感じています。朝一番で感じたこととしては、積極的に大きな声を出したりして、とても生き生きとした雰囲気でした。本当にびっくりするような大きな声がみなさんからでていました。
―― 普段は男性に対して遠慮していたと。
佐藤 男性に対しての遠慮なのかどうかはわかりませんが、具体例を挙げると、朝の朝礼の唱和がありますが、その声の出し方がいつもと全く違ってました。もう、お腹の底から声を発しているようで、今日の取り組みに対して強い気合を感じました。お互いの声かけなんかでも、協力してやっていこうといった思いが伝わるほどしっかりできていましたね。
国際女性デーとは何か
物流業界で国際女性デーを理解している人は何割程度いるだろうか。SDG’sの高まりの中で、多少認識は変わってきているとは思うが、一般的には「女性の日」程度の認識しかないのかもしれない。
その歴史は意外と古く、1904年にニューヨークで女性参政権を求めたデモが起源となり、国連によって1975年に3月8日を「国際女性デー(International Women’s Day)」として女性の権利と世界平和をめざし定めたものだ。そして、素晴らしい役割を担ってきた女性たちによってもたらされた「勇気と決断を称える日」とされている。
2022年の国際女性デーのテーマはBreak The Bias(偏見を打ち砕こう)、そして、2023年のテーマはDigitALL:Innovation and technology for gender equality(ジェンダー平等のためのイノベーションとテクノロジー)となっている。デジタル空間における女性と少女の権利を保護し、オンラインおよびICTが促進するジェンダーに基づく暴力に対処することの重要性にもスポットライトを当てるという意味が込められている。
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