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成長のカギは品揃え&在庫の強化
MonotaROの物流戦略

2022年02月08日/物流最前線

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工場で使用する間接資材等のEC事業を手がけるMonotaRO(モノタロウ)。年率20%という高成長を続けられる理由は商品点数1800万点、在庫点数50万点という品揃えの豊富さだ。扱う商品の数は顧客のニーズに応じて年々増加しており、あわせて物流センターの規模も拡大。昨年11月には関西で大型の物流センターを竣工したばかりだが、急速に拡大する事業に対応するため、足元ではすでに次期物流センターの設置に向けた検討が進んでいるという。次期物流センターの構想や自動化に対する考え方などについて、同社の物流を取りまとめる吉野 宏樹 執行役 物流部門長に話を聞いた。
取材:1月19日 於:都内会議室

<吉野 宏樹 執行役 物流部門長>
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<猪名川DC(左側)>
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<猪名川DC>
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高成長のカギは品揃えと在庫の強化

――  オミクロン株の感染拡大が続いています。物流センター等での業務に影響は。

吉野  会社全般ではリモートワークを推奨していましたが、物流センターやコールセンターなどのメンバーには感染対策をしながら出勤してもらいオペレーションを続けてきました。これだけコロナが拡大すると、さすがに物流センターでも感染者が何人かは出ましたが、幸いクラスターにはならず安定したオペレーションを続けることができています。

――  物流センターでの感染防止対策は。

吉野  本当に一般的ですが、検温やマスクの着用、手指の消毒などですね。あとは、休憩時間のソーシャルディスタンスの確保ですとか、密になった状態での会話を控えてもらったりといった具合です。

オペレーション上での取り組みでは、茨城県内にある2か所の物流センター(笠間ディストリビューションセンター(DC)、茨城中央サテライトセンター(SC))に日立インダストリアルプロダクツ製の小型AGV(無人搬送ロボット)「Racrew(ラックル)」を導入し、ピッキング作業でGTP(Goods to Person、棚搬送型)形式を採用しています。通常のカートピッキングであれば、作業員同士が通路ですれ違ったり、混雑するエリアが生じたりしますが、GTPでは作業員がステーションに固定され、一定の間隔を空けて作業できる環境を構築しているので、結果として自動化の推進が感染対策にも繋がっているのかもしれません。

――  営業面での影響は。

吉野  プラスとマイナスの面がありますね。プラスの面では巣ごもり需要もあってユーザーが大きく増えました。我々はマスクや消毒用アルコール、ゴム手袋といった商品を取り扱っている関係もあって、その辺りの商品の需要が増えましたね。

一方、マイナス面では、オーダー単価が下がったり、私たちのメインのお客様である企業の在宅勤務や休業などの影響もありました。ですが、その期間はさほど長くなく、結果として見ると2020年、2021年とほぼ計画通り前年比20%増の成長を続けることができました。

――  それ程の高成長を継続できる理由は。

吉野  大きくは3つのポイントがあります。1つは「品揃え」です。先程、当社の取扱商品は1800万点とお話しましたが、創業当初は品揃えの弱さから利用が伸びなかったという経緯があります。そこから利用者の声を受けて商品点数を拡充していった結果、利用者も増えていったという形です。ですので、品揃えの強化というのがまず大きなポイントですね。

2つ目は「検索性の向上」です。SEOやSEMの向上を図っていて、ビッグデータを使って顧客にアプローチしていき、パーソナライズすることで検索のレベルを引き上げています。

3つ目のポイントは「在庫の強化」です。販売量が一定の基準を超えた商品を次々と在庫していった訳です。私が当社に入社したのが2014年で、その時は在庫点数が12万点程度でした。それが、物流センターの増設によって在庫できる能力を増やしていき、2021年末でほぼ50万点になっています。品数が増えると持つ在庫も増えてくるということで、顧客に利便性の高まりを感じていただいているのかなと考えています。

これらに加えて、ここ最近の成長要因の一つとしては大企業の顧客が増えてきたということが挙げられます。当社は顧客のタイプを「大企業、中小企業、個人事業主、個人」の4つに分類しているのですが、直近では特に大企業の顧客の成長が著しく、前年比40%超で伸びています。今では売上の20%程を大企業が占めており、今後も継続して成長する領域だと考えています。

――  大企業の顧客が急増した理由は。

吉野  大企業の購買システムと、当社の商品データベースを連携しています。例えば、大企業の顧客がA・B・Cという3か所の工場でボールペンをそれぞれ調達すると、従来であれば同一商品であっても工場ごとに仕入先が違うため価格にばらつきが出てしまいます。また、購買や経理では仕入先別の処理が発生し業務が非効率になります。当社の商品データベースと購買システムとを連携することで、調達先も1か所にまとまり価格も統一することができるので購買統制や利用者に利便性が認知された結果、顧客が増加しているのだと思います。

――  今後も継続して大企業の顧客を増やしていくには。

吉野  先程の話に戻りますが、やはり品数が重要になってきますね。より多くの商品を揃える必要があります。例えば物流資材ならマスクや軍手、梱包用のテープといった売れ筋商品もあれば、一見すると何に使用するか分からないような専門的で特殊な道具もあったりするので、どこまで点数を広げられるかが非常に大事かなと思っています。また、購買システムを導入していない大企業顧客向けには、管理購買に必要な機能が揃っており、導入費・月額費用が不要で、最短1週間から導入可能な購買システム「ONE SOURCE Lite」を提供しており、そちらを導入いただく顧客も増加しています。

――  商品点数はどのくらいのペースで増やしているのですか。

吉野  おおよそですが、年に数万アイテムずつ在庫を増やしていて、今後も同程度が必要になるかと考えています。当社では在庫を右肩上がりに増やしていった先に、頭打ちになってしまう時があります。これは物流センターのキャパシティーが限界を迎えた時です。その後は、新しいセンター作ることでまた在庫を増やすことができる。今回も4月に「猪名川ディストリビューションセンター(DC)」を開設しますので、ここでまた在庫能力が伸びるという訳です。

次>数年ごとに物流センター新設、次は2025年頃

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