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商船三井/米国ベアリング社と提携、海運業界に人工知能導入

2021年02月09日/SCM・経営

商船三井は2月8日、Bearing(ベアリング)と、船舶の運航効率の最適化を目的としたパートナーシップの拡大を図ると発表した。

<入力したデータと最適な航路の関係をモデル化し、最適航路を提案する。>
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商船三井とベアリングは、2019年初頭にパートナーシップを締結し、商船三井の外航海運に関する専門知識とベアリングの技術インフラを融合させ、人工知能を搭載した最適な航路選択「スマート・ルーティング」などの研究を進めてきた。

まずは最適な航路を選択する際に機械学習技術を活用できる可能性を検証することから開始して一定の効果が期待できると評価した後に、実用化に向けて輸送時の安全性や定時性を確認すべく、自動車運搬船やドライバルク船で実船検証を行ってきた。現在は、最適な航路の選択に加えて最適な推進性能を選択するための検証にも取り組んでいる。

スマート・ルーティングでは、目的地に至るまでに選択できる航路・出力などのデータを深層学習させた人工知能が、数万通りの組み合わせの中から、安全性・定時制を確保した上で最適な航路や推進出力の推奨案を、高速衛星通信サービスを通じて船長と運航担当者に提示するもの。航海の進捗、気象海象の変化に応じ更新される推奨案をもとに、船長と運航担当者は最適な航路を選択する。最適な航路を選択することは、温室効果ガス削減にもつながる。

ベアリングは、商船三井が海運業界のテクノロジー・リーダーであり、人工知能の変革の可能性を理解していることにより協業を拡げることを希望し、商船三井はベアリングやその兄弟企業が持つ人工知能に関する深い専門知識・技術・製品を理解し、パートナーシップ拡大の合意に至ったもの。

このパートナーシップの締結を初めとした既存及び新規諸プロジェクトの推進により、商船三井は船隊の高い次元での運航状況管理、運航効率の改善、更なる安全運航を実施する。また、これら活動を通じて温室効果ガスの排出、大気汚染、生物多様性の障害などの問題の解決に寄与するとしている。

なお、ベアリングは、カリフォルニア州パロアルト(シリコンバレーの北端)に拠点を置き、人工知能の技術を活用して船舶の運航合理化に取り組んでいるスタートアップ企業。ベアリングの技術の中核をなすのは、世界実海域の船舶航行情報に基づいて構築された高い精度を持つ船舶性能予想モデル。このモデルと各個船の過去の運航における船速、船体姿勢、メインエンジン運転情報、気象海象情報、等のデータを組み合わせ、船舶の設計パラメータがなくても燃料消費量などの指標を非常に高い精度で予想することを可能にした。

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