シャープは5月24日、液晶材料の研究で培った技術をベースに、冷凍輸送時の蓄冷材として活用が可能な融点-22℃の「適温蓄冷材」を開発したと発表した。
「適温蓄冷材」は、真夏の高温や真冬の低温でも「液晶」という固体と液体の中間の状態を維持するための液晶材料温度設計技術を応用し、社内ベンチャーのTEKION LABが開発したもの。
水を主成分とし-22℃で溶け始め、固体から液体に変化する間、周囲の空気や接触する対象物を-22℃前後に維持することが可能で、夏場を中心に品薄傾向が続き、温室効果ガス排出削減への機運の高まりから代替化が求められているドライアイスに代わる蓄冷材として、冷凍食品などの冷凍配送向けに活用できる。
また、従来の保冷材は-30℃付近で凍り始めるものが多いのに対し、「適温蓄冷材」は-25℃環境下で約48時間、-30℃設定の凍結庫では約11時間で凍結を完了させることが可能。-30℃設定凍結庫での凍結時間を従来の保冷剤よりも40%以上短縮でき、-25℃以下に設定した業務用冷凍倉庫であれば倉庫内の空きスペースで凍結できるため、省エネや冷凍倉庫の効率的な活用に寄与する。
「適温蓄冷材」の開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「高効率・省エネルギーを実現するドライアイス代替蓄冷材およびコールドサプライチェーンの開発」に基づいたもの。
今後、シャープでは獲得した知見を基にさらなる検証を重ね、エネルギー消費を抑えた高効率運用による低温輸送ソリューションの展開を加速していくとしている。