LNEWSでも物流施設の市場動向のレポートや内覧会の記事でお馴染みのCBRE。世界最大の事業用不動産サービスと投資顧問の会社だ。全世界で10万人を超える従業員が、100か国以上で事業を行っているまさにインターナショナルな企業。日本では、外資系企業では珍しく国内に10拠点を設け、地域に密着したサービスを提供している。CBREの坂口英治社長は、現在の物流施設環境を「適温相場」とし、物流施設の需要と供給の好バランスの状況を解説。しかし、今後の展望では、やはり市場での消費拡大がカギになるとみている。昨年50周年を迎えたCBRE日本法人の坂口英治社長に現在の日本の物流環境ならびに今後の物流施設の動向について聞いた。 取材:11月29日 於:CBRE本社
BtoBの不動産総合サービス会社
―― CBREさんは、物流施設関係ではさまざまな分析記事なども定期的に発行されており、知名度は抜群なのですが、全体的にはどのような会社なのかはあまり知らない方も多いのではないでしょうか。まず、会社名のCBREとは何の略なのでしょうか。
坂口 そうですね。元々はコールドウェル・バンカーズという会社で、1906年にサンフランシスコに誕生しました。個人の住宅の売買がスタートです。リチャード・エリスは英国の企業で、1700年代からある会社です。それが一緒になって頭文字をとってCBREになったわけです。
―― 国内では生駒商事との資本提携が始まりでしたね。
坂口 国内では、1999年に生駒商事と資本提携し、2006年にシービー・リチャードエリスに商号変更、2010年の完全子会社化を経て、2012年にシービーアールイーに商号変更して現在に至っています。米国で長年生き残ったデベロッパーでトラメル・クローとハインズという両巨頭がありますが、2006年にCBREがトラメル・クローを買収したため、CBRE本体の経営陣には、そのトラメル・クロー出身者が現在多いですね。
―― 日本法人の出身者は。
坂口 やはりリーシング部門では生駒商事出身者が多いですね。売買仲介業務では信託銀行系も多くいます。主に投資家や事業会社に向けた投資機会の提供、投資銀行業務、ホテル事業のアドバイザリーなどを行っているキャピタルマーケット部門のトップは三菱商事出身です。新卒では、毎年15人ほどを採用しています。
―― 坂口社長はどちらのご出身ですか。
坂口 私は三井不動産からモルガン・スタンレーを経て、2016年にこちらに来ました。当時、CBREの人とはだれも知り合いがなく、何か縁があったんでしょうね。5年たちましたが、一応クビにならずに働いています(笑い)。外資系は結果責任が厳しいですからね。
―― さて、御社でも新型コロナウイルスの影響は大きかったと思いますが、この約2年間はいかがでしたか。
坂口 どこの企業もそうでしょうが、厳しくて辛い日々でしたね。今では一般的になったテレワークですが、我々がこの場所に来た2014年からフリーアドレスということで、いつでもどこでも働ける環境を目指してきました。これそのものは7年間もやっているので、慣れていたのですが、一番困ったのは業績評価ですね。業績評価でマネージャーからすると、どこにいるか分からない部下を数字以外でどう評価するんだということでした。部下からすると、数字以外でもマネージャーはパフォーマンスや仕事ぶりをきちんと評価してほしいというわけです。
―― これは難しいですね。結果は出なくても努力を続けている社員もいれば、結果を出した後は遊んでいてもわかりませんからね。
坂口 コロナ禍の中、家で働くのが主で、会社がサブだと、各自の行動、これは絶対分かりっこないだろうと。そこで、アプローチを変えて、自分のやっていることをいかに上司やチームメンバーにアピールできるかということをやっています。元々、外国人社員はごく普通に自分の仕事についてはアピールしてきます。ところが、日本人は自分が中心になってやってきた業務でもメンバー全員でやりました的な、謙遜というか、奥ゆかしいというか、日本的な感覚なんですね。仲間から「何、いいカッコつけてるの」と思われるのもいやなんだと思います。これは私にもよくわかります。しかし、このバリアーを取り除くためにいろいろ試行錯誤しています。2年ぐらいたちますけど、部署によってはうまくいってるところもありますが、まだまだのところもあります。ワークフロムホーム主体でやっていく限り、避けては通れない課題です。これは海外に出て仕事する場合も日本人には必要だと思いますね。
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