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「適温相場」の物流施設市場
賃料上昇には消費拡大がカギ

2021年12月14日/物流最前線

<全国の大型マルチテナント型物流施設を網羅的に把握するためのツール『LOGIMAP 2021』>
20211211cbre 05 520x294 - 物流最前線/トップインタビュー CBRE 坂口英治 社長

最終価格に転嫁できるかどうか

――  さて、今後の物流施設開発では、冷凍冷蔵倉庫やデータセンターといったものの需要が増すといった話が多く聞かれますが。

坂口  冷凍冷蔵倉庫は特にフロンガスの規制もあり、また、古い倉庫も多く、そういう既存の物件をスクラップして建て替えるには、相当な金額が必要です。そのあたりをプロロジスや日本GLP等の大手デベロッパーさんが挑戦していますね。しかし、それが冷凍食品のエンド価格に転嫁できなければ、ニーズはあってもなかなか踏み切れないのではないでしょうか。最終価格に転嫁できるかどうかに尽きると思いますね。今の仕組み上、賃料を上げて、消費を上げるようにしないと、すべての仕組みが成り立たなくなってしまいます。コストアップ要因があまりにも多すぎます。

――  このところ消費物価も上がっていますね。原材料費の上昇が大きな要因ですが、物流費の上昇も一因とされているケースも多いようです。

坂口  商品原価が上がっているわけですからね。今後は、物流施設の賃料も含めて、物流にしわ寄せが来ない構造を作り続けられるかが、今後物流施設開発のスピードを決めるものになります。

――  そこは重要な部分ですね。

坂口  先ほども申したように、サプライチェーンの見直しによって、これまでは在庫を持たないことを是としていたものが、やはり持つべきだと変化する可能性があり、そういう意味では新しい需要が生まれると捉えることもできます。ただ、それに対して、どこまで企業がお金を払うのか、リーシング部門からは「滞留在庫に対しては高い賃料を払えない」という企業が多いとのことです。滞留在庫にお金を払いたがらないといっても、空いているスペースがない中で、そんなことを言っていると今後借りられなくなる恐れも生じてきますからね。

――  先ほどおっしゃった最終価格に転嫁できるかどうかに尽きるということですね。ところで、話は変わりますが御社のオフィスからの眺めは格別ですね。

坂口  日本の代表的な場所である皇居が一望の下に見渡せ、その景色も空と緑が1:1の黄金比のビューになっています。CBREの日本市場に対するコミットメントの意味も込めています。顧客は必ずこの場所に案内しますが、みなさん本当に驚かれますね。

――  さて、トップインタビューでは最後に必ず聞いていますが、社長業ではそれなりにストレス等も多いと思いますが、その解消法とか。

坂口  実は家にウイスキーとバーボンのミニバーを作りまして、そこで葉巻と一緒にちびりちびりと楽しんでいます。当初25本くらいだったのが、今は50本を超えています。ウイスキーですので、賞味期限は気にする必要はありません。葉巻は1週間に1本と決めています。このひと時が一番心が安らぎますね。これがストレス解消法です。

――  おしゃれですね。

坂口  本当に小さいミニバーですからね。ウイスキーなので、水割りでもソーダで割ってもストレートでも飲めます。特に20年物が好みです。

――  奥さんは飲まれるのですか。

坂口  私より飲みますね。ちびちび飲むことで、お金もそんなにかからず、まさに五感を開放されますね。それと、朝は4㎞のジョギングを毎日やっています。それと週1回はウェートトレーニングを行っています。当然不動産屋のDNAとしてゴルフもやっています。

<自宅のミニバー>
20211211cbre 06 520x390 - 物流最前線/トップインタビュー CBRE 坂口英治 社長

<坂口社長>
20211211cbre 07 520x342 - 物流最前線/トップインタビュー CBRE 坂口英治 社長

■プロフィール
坂口英治(さかぐち・えいじ)
シービーアールイー(CBRE)代表取締役社長兼CEO
一橋大学法学部卒業後、三井不動産を経て2001 年にモルガン・スタンレー証券(現、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社。不動産投資銀行業務の日本の統括責任者として、不動産・建設・住宅・J-REITセクターにおけるファイナンス・M&A・アドバイザリー業務を担当。2016年10月より、現職。

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