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小売業者、食品メーカー/センターフィー、独禁法違反のおそれ

2021年12月28日/SCM・経営

農林水産省は12月27日、食品製造業者と小売業者との物流センター使用料(センターフィー)などの負担について、事例も交えて紹介した「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」の策定した。

物流センター使用料(センターフィー)などの負担について、問題となり得る事例として、「合理的な根拠が示されることなく、著しく高額なセンターフィーやコンテナリース料を徴収された」「小売業者に対する交渉の結果、センターフィーの引き下げに同意してもらったが、販売額に一定比率で徴収される協賛金(リベート)を一方的に引き上げられ、結局、支払額は同水準になってしまった」を掲げている。

関連法規の留意点として、受託事業者の利益との関係が明らかではないセンターフィーなどを提供させることは、下請法第4条第2項第3号の「不当な経済上の利益の提供要請」に該当するおそれがある。

また、センターフィーに限らず、協賛金(リベート)などを提供させることにより、受託事業者の利益を不当に害することは、下請法第4条第2項第3号の「不当な経済上の利益の提供要請」に、委託事業者が、正当な理由がないのに、自己の指定する役務の利用を強制することは、下請法第4条第1項第6号の「購入・利用強制」に該当する。

さらに、独占禁止法上、優越的地位の濫用における「購入・利用強制」、「その他経済上の利益の提供の要請」、大規模小売業告示における「不当な経済上の利益の収受等」(告示第8項)に該当するおそれがあり、下請取引に該当しない場合であっても留意が必要と指摘している。

望ましい取引慣行として、センターフィーなどについて、製造業者と小売業者が十分に協議を行い、下請代金の本体価格と混同しないように、別に料率を決定することが望ましく、料率の設定に当たっては、あらかじめ、合理的な算定の手法、積算根拠等を明確に示しておくことが望ましいとしている。

望ましい取引実例として、物流センターまでの配送コストを算定し、改定を申し入れた例では、物流センターの活用は、製造業者にとっても配送の効率性の観点からメリットがあるが、製造業者の責任となっている物流センターまでの輸送について、物流センターごとに個別の1台のチルド配送車の確保が必要となることも踏まえて、一連の運搬のあり方を総合的に勘案した上で、採算に合わない場合は数字を基に小売業者に対してセンターフィーの改定を申し入れている。

センターフィーの契約書面で決定した例は、小売業者側から、センターフィーの内訳について説明を受け、契約書面により料率を決定している。

店舗配送とセンター配送を使い分けることとした例では、納品先の店舗の所在地によって、センターを経由せず、直接店舗配送する方が効率的であることをデータに基づいて説明し、店舗配送とセンター配送を使い分けるようにした。

商品原価を踏まえ交渉を行っている例は、センターフィーの値上げ要求については、商品原価に組み込む形で交渉し、センターフィー値上げによる実質値下げには基本的に応じないようにしている。

「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」は、食品製造業者と小売業との取引関係において問題となり得る事例を提示し、できるだけわかりやすい形で下請法や独占禁止法の考え方を示すことにより、取引上の法令違反を未然防止することを目的としているが、今後、ガイドラインの普及とともに、関係業界団体の要望に応じて説明を行っていく予定。

■「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/seisaku/attach/pdf/211227-4.pdf

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