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新たなスタンダードの創造
倉庫にオープンハブの概念を持ち込む

2022年12月16日/物流最前線

20221205hashiglp4 icatch - 短期集中連載/日本GLP 帖佐義之社長×橋下 徹 Vol.4

■高速道路網に見る大阪と東京の違い  Vol.1
■サプライチェーンの重要性を認識 Vol.2
■意識改革は実体験を重ねること Vol.3
■倉庫にオープンハブの概念を持ち込む Vol.4
■トップとしての心構えと行動 Vol.5

倉庫にオープンハブの概念を持ち込む

<2人の対談の様子>
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帖佐  私は本当に子どもの頃からルールについては疑問を持っていました。親とか学校の先生とかに「やっちゃ駄目よ」と言われるとやりたくなった。そういった性格の人間だったので、そもそもあんまりこういうルールを作るのは好きじゃないし、「なんで、なんで」と思っちゃうほうなのですが、やっぱりその中ですごく苦労することが多いですね。

今回はオープンハブの中で目指したのは、閉鎖的が当たり前だった物流施設を共に開放しようということです。これまで閉鎖的だったのにはちゃんとした理由があって、それはまず危険だということです。物流施設は365日、24時間トラックが出入りするところですから。そこが一般開放されるのは危ないよと。それから大事な荷主さんの荷物を扱う機密性というところで、セキュリティの問題などもある。だから関係者以外立ち入り禁止にするのが一番簡単なわけです。でもそれがゆえに、先ほども、なかなか物流の大切さ、ありがたみが一般の方にわかってもらえないとか、近所に物流施設ができると言われると、反対にあってしまうとか、そういった弊害も生まれていました。じゃあ、開いてみてはどうですかと。いや、そんなことできるわけがないじゃないですか、となります。でも、やってみようよ、何で駄目なのか、何で駄目なのかってずっと理由を掘り下げていくと、だんだん駄目な理由がなくなっちゃって、言葉に詰まるんですよ。じゃあ、これはできるってことなんじゃないの、できる可能性があるんじゃないの。どうやったらできるのか考えていこうというふうに一歩一歩進めていくと、じゃあ、やってみようかなと。

<GLPのALFALINK茨木完成予想図>
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<サマーフェスタの会場となったALFALINK相模原の共有施設>
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<地域の人々と入居との触れ合いを実現したオープンハブ>
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まさに先ほどの大阪城の話をお聞きして似ているなというふうに思いましたね。地域に開かれた、入居者同士に開かれた物流施設というのがオープンハブなんですけど。そうすると、企業同士で話をするわけですよ、入居者同士が。入居者同士が話を始めて会話が生まれて、その会話の先にはアイデアがあって。そのアイデアがビジネスの種になってヒントをくれる。そこでまた新しいビジネスが生まれる。それが繰り返される、連鎖されることで、一つのコミュニティーが生まれる。そこまで行けば、もう勝手に一人歩きしてくれるわけですよね。

施設主、事業主が何もしなくても、勝手にアルファリンクが広がりを見せていく。それだけじゃなくて、地域の人たちも遊びに来てくれる場所にすると、なかなか雇用が確保できなくて困っていたような企業に、もしかしたら、「じゃあ、昼間の暇な時間、ちょっとここで働いてみようかしら」とか、「夏休みになったらちょっとアルバイトに申し込んでみようかな」なんて人が出てくるかもしれない。それから地域の人たちにも親しみを持って接してもらえて、例えば子どもの社会見学に開放すれば、物流の大切さを子どもにも教えることができる。われわれの便利な生活がこういった方々の努力の上に成り立っているといったことが広がっていく。三方よしですね。地域の人、入居者、事業主、みんながハッピーになれる役割を担うと。そこにまた地域貢献というような切り口を加えれば、行政もですから四方よしです。それに気づくと、なんで今までこんなことをやらなかったんだろうと当たり前の如く気づいてくれる。今の大阪城の新しい施設もすごいですよね。

橋下  以前からそうですが、これからの時代は、「オープン」と言うのは、成熟した民主国家では絶対に外せないキーワードです。ただ、これも機密情報とか、やっぱり営業ノウハウとかいろいろあって、オープンにできない部分ももちろんあります。だから全部フルオープンにしたから全部いいというわけではなくて、オープンにできない部分もあるんだけど、オープンにできない部分があるがゆえに、全部をクローズにしてしまったのが今までの日本の政治行政も経済も方法がまずかったと思いますね。

だからちゃんと仕分けをして、本当に守らなければいけない機密情報網などは、これはもう完全にクローズドして。だけど、その他のことについては、人、物、金、情報、これは流通、さっき帖佐さんが言われたように、流れることに価値があると思っていることで、流れる、交流する。そこに価値があるということに軸を置いて、やっぱりオープンというところにこだわることが大切です。

<以前の大阪城公園の売店 出典:大阪維新の会パネル>
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<現在の大阪城公園の売店 出典:大阪維新の会パネル>
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だから、物流にしても空港にしても教育にしても、あと医療から何から、もうとにかく僕は基本的にはオープン。公園もオープンということで、公園も今まではクローズで。公園の中で営業しちゃいけない。これも不文律がありました。だから公園でテキ屋さんがトウモロコシを売ったり、綿菓子を売ったりするのは原則禁止になっていたのを、逆だと。大阪の公園なんていうものは不動産的にみるとめちゃくちゃ価値がある。もうこんなものを民間に任せたら、いろんな商売を考えますよと。ところがこれ、税金を使ってクローズドにしてイベント禁止、何禁止、営業禁止と全部やってしまった。例えば大阪城の売店、天守閣の売店なんかです。天守閣の売店は、財団法人大阪市スポーツみどり振興協会。バリバリの天下り団体だけですよ。これまでは特権を持って安い賃料で、観光客が多く訪れ、利益が上がっていました。でもこれが大阪城公園の売店ですよ。しかし、とにかくオープンにしよう。これはいろんな民間事業者に全部開いて、そうすることによってより良いものが生まれるんじゃないかってことで入札に切り替えました。そうしたらこうなりました。ローソンだけに、建物までこうなっています。こういうことなんです。民間に公園を全部解放しようということで、この大阪城公園で商売してくださいということ。そのかわりに、年間で基本交付金2億5000万円を納めてくれ。それから公園の維持管理費用が4億円ぐらいかかります。木を切ったり芝生の整備をしたりとかで。4億円の費用を全部持ってくれ、さらに売り上げの7%のロイヤリティーをくれというヤクザみたいな契約を作って、こんなの無理じゃないのと言っていましたが、入札を投げたらバンバン手が上がって。不動産からしたら、民間、これだけの商売ができると思ったのでしょうね。見事落札をしてくれました。民間が運営する以前は駅前がこんな状態でした。大阪城公園の駅前。まあ普通の公園の駅前ですよね。これは駅の大階段を降りて行ったところです。しかし民間が入ると、こんなふうになりました。ここは最高の施設だ、最高の場所だということで、商業施設はバーッと建って、もうここで売り上げを上げるわけです。それから天守閣の横に、こんな昔の陸軍司令部ビルという古いビルが建っています。これも歴史的な価値はありますが、雨漏りもして何も使えない状態で、廃墟でした。ところが民間は、すぐ整備して、ベースとかも切り替えました。上、トップがバーベキューテラスで、天守閣がバーベキューテラスです。コロナ禍前は予約が取れない。あの建物の中は高級レストランに切り替えました。

結婚式、ブライダルもやって、ここでも利益が出る。公園の中を歩いて移動なんて、そんなのはお客さんに失礼だということでトレイン。このトレインを走らせて、お堀には屋形船みたいなものをここでも設けて、劇場も作ってくれて。ということで、公園を開放した途端に、民間がいろんな商売を考えてくれて、ここで利益を上げています。すると付加価値がどんどん高まってきましてね。これで年間2億5000万円、それから7%のロイヤリティー、それから3億円の税金、3億円分の維持管理が要らなくなる。もうこれでしめて8億から9億円、これだけ大阪市は増収になっているわけです。だから、クローズではないのです。開放です。ノウハウや機密みたいなところは守りますけれども、それ以外のところは解放すると、こういう結果が生み出される。だから、帖佐さんが言われる物流拠点というところ、今までクローズだったようなところを開放すれば、多分いろんな波及効果が生まれてくると思いますね。

帖佐  公園なのにクローズって公園じゃないですよね。漢字を変えたほうがいいですね。

橋下  本当にそうですね。

Vol.5■トップとしての心構えと行動、に続く

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