■高速道路網に見る大阪と東京の違い Vol.1
■サプライチェーンの重要性を認識 Vol.2
■意識改革は実体験を重ねること Vol.3
■倉庫にオープンハブの概念を持ち込む Vol.4
■トップとしての心構えと行動 Vol.5
サプライチェーンの重要性を認識
橋下 今、やっと政治家がサプライチェーンという言葉を使い出しました。このサプライチェーンを確保するために経済安全保障推進法を成立させて、みんながサプライチェーン、サプライチェーンって言っています。これって本来、僕らが2008年の段階でサプライチェーン、要は人・物・金が恒常的に流通しているという状況を作っておかないと、ビジネスなんかできないですね。必要なものをジャストインタイム、そのときだけもらうというのでは、それが何かでうまくいかなくなったときにみんな困ってしまいます。もういつでも人・物・金が円滑に流れていっている。きれいな血が流れていっている血管の元で細胞がどんどん発達するのと同じように、僕はそういう大阪を目指していました。
そして、職員の意識が徐々に変化してきました。まだ不十分な点もあるかもわからないですけど、やっぱりこれは民間の皆さんに、人のお金を流すことに力を入れることが国の発展になる、大阪の発展になるというところをぜひ認識していただきたいなと思います。
また、高速道路と共に、空港があります。関西国際空港強化を2008年に打ち出したときに、いや、空港の強化ってそれどういう意味があるのか、人を単に大阪まで運んできて、その人が海外に行くことでどういう意味があるのかと。それからこの淀川左岸線の延伸部の赤色のところですね。延伸部、それから西側の方が淀川左岸線ですね、これが大体2つ合わせて4700億円ぐらいの費用がかかりますが、4700億円のお金を突っ込んでも、いや京都から来たトラックがそのまんま神戸を通過するだけじゃないですか。神戸から入ってきたトラックがそのまま奈良に通過するだけじゃないですか。この赤色のほう、大阪市にはジャンクションが1つしかないので、大阪市にとってメリットがないとみんな言います。そこで、それは違うと。流れるだけで、それにどれだけの価値があるかというところを、過去の歴史を振り返って、もう1回ちょっと勉強し直そうよと。そういうことでいろいろ積み上げてきた結果、実行したのです。現にここに物流拠点に来てもらう。それから関西国際空港を強化して、ハブアンドスポークになっていくことによって、やっぱりその周辺にビジネスチャンスが広がってきていることは間違いないみたいです。僕らはその大きな方向性を出すだけですから、あとは本当に職員はじめ、民間の皆さんに、頑張って大阪を引っ張っていってもらいたいと思いますね。
帖佐 本当にそうですね。動脈であり、静脈じゃないですか。それがなかったら社会って成り立たないですね。
橋下 そうですね。
帖佐 我々のこの便利な日常生活ですが、それがあって当たり前すぎちゃっていますよね。空気のような存在になってしまっている。実は、事業者の皆さん方を目の前にして言うのが非常にはばかられるんですけど、物流会社自身がそういうふうに受けとめているところがあるんじゃないかなと。もっともっと自分たちがやっている仕事がいかに社会に役立っているのか、社会に必要とされているのか、必要不可欠なものであるのかということをもっとアピールしていく努力も必要なんじゃないかなと思います。
橋下 だからこのサプライチェーンというものは、途絶したときに初めてその重要性に気づいて、今日本は大慌てで経済安全保障方式をやるわけですけど。これは帖佐さんが言われたように、実際にその仕事をやっている人も、それが普通のように感じていたかもしれません。だから動脈、静脈と一緒でね、これがないところでいきなり筋力を増強させるとか、動脈、静脈に、きれいで栄養価の高い血液が流れていないところに筋力はつけようがないわけですよ。にもかかわらず、何かそこは通過してしまうという、そういう固定観念があるのか、増やすこと、筋肉を強化しようって、そこはみんな言いますが、筋肉を強化するために人・モノ・金・情報というものを流通させようと、これはワンセットだというところに、今までの政治はあまり思いをそちらに向けて来なかったところがあると思いますね。
帖佐 いわゆるそのeコマースですとか、GAFAのようなプラットフォーマーと、私どもがやっていることでもあったわけですけど。橋下さんもおっしゃっていましたけど、物流はリアルなプラットフォームだと思いますね。
橋下 プラットフォームは情報の流通の仕組みとして、大成功を納めています。もう彼らが今世界で利益を全部持っていっている感じじゃないですか。何をやっているかというと、彼らは何も生み出していませんからね。情報を右から左へ流通させている、まあ、そこにいろんなサービスはつけていますけど、基本は我々の全世界国民の情報を、これ右から左に流しているだけで、あれだけの付加価値というか、利益を得ているわけですから。これを情報じゃなくて物でリアルにやっているのが、物流の事業者の皆さんですよね。ですから、GAFAと同じぐらいの本来の付加価値を生んで、利益を取るような業界になってもおかしくないところを、ちょっとやっぱり皆さん、謙虚なのか、GAFAみたいに貪欲じゃないと。GAFAの人がここにいたらあれですけども、でももう強気で行ってもいいと思いますね。
帖佐 いや、本当に謙虚という言葉が私はふさわしいと思いますが、物流という裏方の仕事、縁の下の力持ち、黒子に徹している、これらは一つの美徳だと思います。でも前面に出る努力もあっていいのかなという気はいたします。
Vol.3■意識改革は実体験を重ねること、に続く。
【PR】日本GLP/「ALFALINK茨木」の完成披露内覧会を開催