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冷凍冷蔵倉庫市場を拓く
新鋭ベンチャーの戦略

2022年12月19日/物流最前線

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Eコマースの拡大とともに需要が増すコールドチェーン。商機をいち早く捉え、冷凍冷蔵倉庫市場で躍進しているのが、霞ヶ関キャピタルが展開する「LOGI FLAG」だ。東日本大震災で被災した商業施設の再生を機に創業した同社は2020年6月から物流事業に参入し、2年余りで冷凍冷蔵倉庫を中心に14プロジェクトという驚異的なスピードで開発を手掛けている。今年9月にはその第一号となる「LOGI FLAG COLD 市川 I」が千葉県に竣工(SBSゼンツウが入居)、11月には埼玉県ふじみ野市に「LOGI FLAG 三芳I」が竣工した。また2022年1月、三菱HCキャピタルと合弁事業を開始し、3年間で2000億円規模の物流施設開発を計画、そのスピードは加速している。そんな急成長中の同社物流事業本部を支えるのが、取締役副社長 物流事業本部の杉本亮 本部長と、平均年齢30代半ばという約40名の社員たちだ。取材して驚いたのは、このうち物流経験者は約2割で、多様なバックグラウンドを持ったメンバーが戦力として成長し、ノウハウを積み上げていること。「課題」を事業化し、「変化」を進化と前向きに捉える柔軟性―。「こんないい会社はない」と言いきる杉本 本部長に、霞ヶ関キャピタルの成長戦略と今後の展開を聞いた。
取材:11月7日 於:霞ヶ関キャピタル本社

<杉本亮 本部長>
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<左:9月に竣工した「LOGI FLAG COLD 市川Ⅰ」、右:「LOGI FLAG COLD」ロゴ>
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<11月に竣工した「LOGI FLAG 三芳I」>
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社会課題を「価値」と捉える

――  霞ヶ関キャピタルの主な事業内容は?

杉本  創業に遡って説明させて頂くと、2011年9月に東日本大震災があり、その時に被災した宮城県のショッピングセンターの再生事業に取り組んだことをきっかけに会社が設立されています。それ以来、『その課題を、価値へ。』つまり、社会に貢献することで霞ヶ関キャピタルの成長はあるのだというコンセプトのもと、コンサルティング型デベロッパーとファンドマネジメントの機能を融合したビジネスモデルを構築し、事業展開してきています。

――  これまでどんな施設を手掛けているのですか?

杉本  例えば、世の中にもっと自然エネルギーがあったほうがいいよね、ということで太陽光発電事業に参入したり、待機児童問題があれば保育園を作ったり、インバウンドが入ってきて、「地方創生」がキーワードになってきた、となればホテルを作ってみましょうとか。物流でいうと、Eコマースが伸びてきて床が足りない、倉庫が足りないという時に、じゃあ作りましょうと、2020年から物流事業本部を立ち上げました。社会課題に対して足りないものを創っていくということで成長してきた、それが霞ヶ関キャピタルです。今後も、まだ世の中にないものを創っていくということで、事業展開を続けていくと思います。

――  杉本 本部長は2020年6月の立ち上げ時に入社されていますが、物流事業のご経験は?

杉本  物流施設の開発でいうと4、5年くらいですが、賃貸用不動産としては、前職・前々職(財閥系・外資系AM会社)で10年以上前から物流に幅広く携わっています。そういう経験、実績もあって、社長の河本から「物流事業を一緒に作っていかないか」ということで当社に入社しました。入った当初は私1人、7月には2人入社し3人に。そのタイミングである程度事業化できる目途がついたので、8月には物流事業部から本部に格上げされ、10人くらいで「物流事業本部」が立ち上がりました。それが2年前で、今は40人近くの社員がいます。

――  物流事業の現況は?

杉本  霞ヶ関キャピタルでは、3つのコンセプトを軸に物流事業を展開しています。1つ目は、環境配慮型コールドチェーンに対応した「コールド型倉庫」、2つ目は配送拠点の中継地点としての「オートメーション型倉庫」、3つ目は「ドライ型倉庫」です。

<物流事業の3つのコンセプト>
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この2年間で、公表ベースで首都圏を中心に関西圏、仙台、福岡含め14プロジェクトを手掛けています。ただ件数的には多いですが、1件1件の規模でいくと、大手デベロッパーが作っているランプ付きの10何万m2規模の施設に比べるとかなり小さく、1万~2万m2くらいの施設が中心です。14プロジェクトを積み上げて、大手企業がやっている2、3物件くらいの規模感にはなります。そういう意味では、大手企業に数で対抗していこうということですかね。

<14プロジェクトの概要一覧>
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――  すごい数ですね、これだけのプロジェクトを進める原動力は?

杉本  規模感は敢えて大手企業が戦ってこないフィールドを中心に狙っています。霞ヶ関キャピタルは上場しているとはいえ、まだベンチャーの域を出ない、大手と対等に戦える会社ではまだないと思っていますので、大手企業とはやり方を変えて付加価値をつけていくような施設を作っていくことで、差別化を図っています。

――  その1つが冷凍冷蔵倉庫ですか?

杉本  そうですね。前々職で世の中に冷凍冷蔵倉庫のニーズが結構あるなということに気がつき、それらに投資をしていたのですが、その後10年のトラックレコードも非常に良いと聞いています。また前職の時には、開発ではなく築古の倉庫を冷凍冷蔵にリノベーションしたケースもあり、これもうまくいっていますので、1から作っても面白い、うまくいくのだろうなという見通しがありました。

――  投資対象としても可能性があると。

杉本  はい、当社では全社を挙げて「霞ヶ関キャピタル1.0、2.0」と銘打ったビジネスモデルを掲げています。物流事業における2.0モデルというのは、三菱HCキャピタルさんと共に進めるプロジェクトを指しています。

<霞ヶ関キャピタル2.0モデル>
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具体的には、2022年1月より、三菱HCキャピタルさんと共に合弁会社「ロジフラッグ・デベロプメント」(出資比率は霞ヶ関キャピタル:66%、三菱HCキャピタル:34%)を通じて、協業しながら物流施設の開発を加速するというスキームで、土地を購入してプランを策定し、これを「ロジフラッグ・デベロプメント」に移して建物を作り上げるところまでを行い、完成後コアファンド投資家に売却するというもの。この時のキャピタルゲインが持ち分に応じて入ってくるという事業展開をしています。当社の場合、まだまだ大手企業ほどの資金余力がないにも関わらず、プロジェクトは山のようにある。これをどうやっていくか、どう投資家とシェアしていくかという一つの解が、三菱HCキャピタルさんとの協業でした。「ロジフラッグ・デベロプメント」では3年間で総事業費2000億円規模の物流施設開発を目指しており、環境配慮型の冷凍冷蔵倉庫や、省人化・省力化を実現する自動倉庫など、物流業界が抱える課題解決に資する施設を開発していきます。

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霞ヶ関キャピタル/福岡県古賀市の賃貸型3温度帯倉庫でテナント決定

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